ライフスタイル

はじめての部屋には、こんなインテリアを置きたい。/FLOWER VASE

民藝の器に花でも飾ってみようか。

2023年3月5日

photo: Hirokazu Kobayashi
text: Shoko Yoshida
edit: Tamio Ogasawara
illustration: Yoshifumi Takeda
2023年3月 911号初出

 民藝の世界に魅了されて以来、学校のように通う上町の『工芸喜頓』で、民藝の器を花器に見立て花を生けているのを何度も見た。民藝のどっしりした手仕事の渋みとは反対の、かわいらしい草花が挿さるだけでなんと美しくモダンになるのだろう。「民藝の器は素材が土なので、植物との相性がいいんです」という店主の石原さんいわく、野草や珍しい季節の切り花を1種類に絞って2~4本ほど生けるのがおすすめだそう。ここでポイントは、茎と長さ。「流れるようなカーブのある茎を選び、器の高さの2倍の長さで整えるとバランスがいいですよ」とのこと。花器も生け方もこれでバッチリ。あとは、近所で贔屓のお花屋さんを見つけようっと。

小鹿田焼 坂本工窯のピッチャー

大分・小鹿田焼の坂本工窯の櫛目ピッチャーには、重心が低く、口が小さめなフォルムに合うように大きなアンスリウムを。トロピカルな色合いと造形が白いピッチャーに映える。
沖縄・読谷村に登り窯を構える茂生窯の先代、上江洲茂生さんの抱瓶(だちびん)には、上品な色味のクリスマスローズを。抱瓶とは紐で肩から吊るし、腰の曲面に当て携帯していた酒瓶のことで、素朴な自然の色合いには洒落た冬の貴婦人をそっと。ピッチャー¥10,670、抱瓶¥8,800(ともに工芸喜頓)

カンナカガラス工房 村松学の筆立て

高さのないカンナカガラス工房の村松学さんの筆立てには、ヒヤシンス ブルーパープルをすっぽりと。球根ものなら太陽光もいらないので、殺風景になりがちな洗面所に置くとよい。¥5,500(工芸喜頓☎03·6805·3737)

西川孝次吹きガラス工房の鉄花瓶

広島・西川孝次吹きガラス工房で作られる、金型にガラスを吹き込んだ鉄花瓶。スッと潔い形に、同じくキリッと立つチューリップ プリンセスイレーネを添えて。

平山元康の飴釉壺

レースフラワーグリーンミストを生けた平山元康さんの飴釉壺。つつましやかな色合いがどんな花も引き立ててくれる。鉄花瓶¥39,600、飴釉壺¥44,000(ともに工芸喜頓)

教えてくれた人

石原文子さん

『工芸喜頓』店主『工芸喜頓』は以前ファッション業界にいた石原さんが、クラフト好きが高じて始めた民藝の器のお店。花も大好きで、「花屋で選んでいるときから、似合う器が頭に思い浮かぶ」とのこと。