TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#4】演技をする鳥

執筆:磯野貴理子

2026年3月4日

東京湾は、江戸時代から今まで埋め立て続けられていて、かろうじて残っている船橋市の三番瀬は、シギやチドリが、渡りの途中にやって来る大切な干潟です。
その三番瀬にいるシロチドリについて書きます。

シロチドリは、砂浜そばの草地など地上に巣をつくる。
卵に危険が近づくと、親鳥は突然、翼を引きずり始める。まるで大ケガをしたかのように芝居し、必死に地面を走る。
本当は飛べる。
それでも飛ばない。

敵(カラス、ネコ、ヒトなど)の目を自分に向け、卵(ヒナ)から遠ざけるためだ。
あまりにも分かりやすい不幸の演出に、見る者は思わず追いかけてしまう。その間に、卵(ヒナ)は守られる。
命を守るために、命を差し出すふりをする。
これを『擬傷行動』という。

私は、その場面を実際には見たことがないけど、「よくそんなことができるな」と思う。
このことを知って素直に「すごいな」と思った。なんだか、胸の奥がじんとした。
こういう鳥たちが過ごす三番瀬が、これ以上埋め立てられずに今ある姿のまま大切にされてほしい。

プロフィール

磯野貴理子

いその・きりこ|三重県出身。会社務めを経てお笑いアイドルグループ『チャイルズ』の一員としてデビュー。解散後はタレント、俳優として活躍する。
日本野鳥の会会員。近年は趣味の野鳥観察に野鳥の撮影が加わり登山も始めた。
「はやく起きた朝は…」(CSフジTVTWO)、「ホンマでっかTV」(フジTV系列)、「池上彰のニュース そうだったのか!」(テレビ朝日系列)でコメンテーターとして出演する。

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