ライフスタイル

伝統衣装とレギュラーものを気軽に取り入れる古着屋『easychic』。

東京五十音散策 阿佐ヶ谷③

2023年12月18日

photo: Hiroshi Nakamura
text: Fuya Uto
edit: Toromatsu

東京都内の駅名を「あ」から五十音順に選出し、その駅の気になる店やスポットなどをぶらりと周っていく企画「東京五十音散策」。1文字目「あ」は麻布十番に続き、阿佐ヶ谷。

 店主の偏愛によって収集された、見たことない世界に出合いたかった今日この頃。訪れた街に古着屋があれば気になって当然! 南阿佐ヶ谷駅近くの細い路地裏にある『easychic』(イージーシック)はいわゆるアメカジのものだけでなく、各国の“トラディショナル”なアイテムも同じ目線で楽しめる、まさに求めていた理想のお店だった。

 ラックに目を配るとUS古着の中にベトナムの山岳民族・ヤオ族の衣装、アフリカ・マリ共和国に暮らすドゴン族のシャツ、メキシカンジャケット……。馴染みのものと一癖ある逸品が並ぶ“振り幅”がありながらも、刺繍やアップリケなど手仕事ならではの温かみがあるアイテムもセレクト。店の“こんな着こなしを楽しんでほしい”が全面に感じ取れる古着屋だ。

 店主の木村辰哉(きむら・たつや)さんは大手セレクトショップで7年ほど経験を積んだのち、2019年に独立。以来、アメカジに民族衣装をファッションとして取り入れるスタイルを提案してきた人物。自身がのめり込んだのも、大量生産とは対極にあるようなスタンスや、取り入れるだけで全体がグッと変わる雰囲気に惹かれたから。「あくまで古着なんだし、自分と同じように気軽にチャレンジしてもらえたら」と語るだけあって、店によっては結構いい値段が付きそうなアーカイブなのに良心的な値段なのが嬉しい。

レディースと小物を担当する妻の花奈さんも、長年古着屋で販売員として働いてきた生粋の洋服好き。

 商品のほとんどはアメリカ西部にてエステートセール(遺品整理の催し)やスリフトで買い付けているが、東南アジアの民族モノに限っては直接現地へ。入荷を心待ちにしている常連やプリミティブ・スタイルにチャレンジしたい若者まで幅広い古着ラバーがここに訪れているようだ。ついついイロモノとしてみてしまうけれど「現地では至って正装」という話を聞くと、何もトラディショナルとは英米だけではないと実感させられる。

 

インフォメーション

easychic

南阿佐ヶ谷駅の杉並郵便局側出口から徒歩2分。10畳ほどの店内にエッジーな伝統衣装が多数並ぶが、状態のいいアメリカ製のウールメルトン生地のスラックスや〈ファイブブラザーズ〉のネルシャツなどレギュラー品も充実。ネルシャツが2枚重ねてスタイリングされている視点も面白かった。

◯杉並区成田東5丁目40−12 ロゼア南阿佐ヶ谷104 14:00~21:00(日曜日のみ13:00〜19:00) 不定休

Official Website
https://www.instagram.com/easychic_vintage/