フード

USEFUL SPAGHETTI RECIPE Vol.12

ゲスト・滝口悠生/ブラックペッパーのトマトパスタ。

2023年3月23日

illustration: Tomomi Mizukoshi
design: Shohei Yoshida
text: Ryoma Uchida

テキーラ

テキーラ

この連載は“自分なりの使えるレシピ”を淡々と掲載していく備忘録。今回レシピを教えてくれたのは小説家の滝口悠生さん。滝口さん、本日はどんなレシピを?

滝口さん

滝口さん

「ブラックペッパーのトマトパスタ」です。


ブラックペッパーのトマトパスタ

作り方

赤色の落書きは娘さんによるもの。
具材はたったこれだけ。
滝口さん

滝口さん

にんにくや鷹の爪など入れたくなるかもしれませんが、そして入れたら入れたで普通においしいですが、馬鹿みたいにブラックペッパーを味わうためのレシピなので、うまく仕上がるとなにも入れない方がうまいです。

テキーラ

テキーラ

コツや作る上でのポイントはありますか?

滝口さん

滝口さん

シンプルなレシピなのでパスタやトマト缶、ブラックペッパーのチョイスで仕上がりが違ってくると思います。なので、できるだけ好みのものを選んだり、いい組み合わせを探すといいと思います。個人的には、高級なものよりその辺で売っているもので十分うまいです。

Let’s Try!

まとめ

テキーラ

テキーラ

連載開始以来最速で完成するレシピが登場。調理動画もいつもの半分の尺に。パスタを茹で、トマト缶と混ぜてブラックペッパーをたんまりかけるだけ。間違えようがない! 即完成したはいいが、あまりにシンプルな見た目と味付けの少なさに少し不安に。だが食べてみて衝撃。まず、トマトが絡んだ“だけ“パスタが予想以上にテイスティ。そして、なんといっても“かけすぎ?と思うくらい”の大量のブラックペッパーが効いてくるではないか(こんなにかけていいのだろうかと何度か動きを止めかけたが、滝口さんを信じて正解だった。疑ってすみません)! こんなにブラックペッパーの味と辛さに向き合ったのは人生で初めてかもしれない。胡椒は調味料ではなく、一定のラインを超えると具にもなるのだ! と新たな扉が開いた。やはり、具材が絞られているからこそ個々の味が引き立っていたと思う。濃い味が好きな人はパスタを茹でる過程で塩をしっかりめで入れるのが大事かも。それに、滝口さんのおっしゃる通り、自分好みのトマト缶やブラックペッパーを使えば、その満足感も倍増するはずだ。料理は完成も大事だが、まず、何を使うのかが大事だってことを教えてくれるレシピであった。ひとまず色々なトマト缶試してみます!

完成!

今回レシピを教えてくれた人

滝口さん

滝口悠生

たきぐち・ゆうしょう|1982年、東京都生まれ。小説家。2011年、「楽器」で第43回新潮新人賞を受賞しデビュー。2015年、『愛と人生』で野間文芸新人賞を受賞。2016年、「死んでいない者」で芥川賞を受賞。2022年、『水平線』で第39回織田作之助賞と芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。今年2月には最新の連作短編集『ラーメンカレー』を刊行。