USEFUL SPAGHETTI RECIPE Vol.5
ゲスト・江口研一/ラガーネ、ではなく残ったラザニアシートで作るサフラン・プロシュット・セージのパスタ。
2022.06.17(Fri)
illustration: Tomomi Mizukoshi
design: Shohei Yoshida
text: Ryoma Uchida

レストランの味、ジャンク系、和風、喫茶店のオリジナルメニューなど、スパゲッティにはそれぞれ違った魅力があってどれも最高に美味しいけれど、これから掘り下げていくのは誰もが持っているであろう”自分なりのスパゲッティの使えるレシピ”。その人が偏愛して生活の一部になっているレシピにはすごい説得力がある、というかどんな名店にも負けない味が潜んでいる気がする。ということで、この連載は誰かのUSEFUL SPAGHETTI RECIPEを淡々と掲載していく備忘録。実際に調理してみて、失敗談も含めて感想を全部メモっていこうと思う。今回レシピを教えていただくのはライター/翻訳家で「food+things」にて食材のクリエイティブ・ケータリングもされている江口研一さん。江口さん、本日はどんなレシピを?

「ラガーネ、ではなく残ったラザニアシートで作るサフラン・プロシュット・セージのパスタ」です。ラザニアを作ったあと、ちょっと余ってしまったラザニアシートを使って作れるパスタです。
<ラガーネ、ではなく残ったラザニアシートで作るサフラン・プロシュット・セージのパスタ>
作り方



どうしてこのスパゲッティを選んだのでしょうか?

ラザニアのパスタが残ったときに、バターとオリーブオイルのなじみがいいので合うからです。セージ、サフラン、バターの香りが最高のマッチングです。

おすすめの”ちょい足し”具材などはありますか?

オリーブ、生ハム、ケッパー、パルミジャーノレジャーノ、またはペコリーノ・ロマーノ、ドライトマト、比較的、その流れのものは合うでしょう。
Let’s Try!
まとめ

江口さんが教えてくれたのは「ラガーネ、ではなく残ったラザニアシートで作るサフラン・プロシュット・セージのパスタ」。大切な人のためにラザニアを頑張ってつくったと想定(そんな素敵な人に出会いたい)。そこから余ってしまったラザニアシートをラガーネの代用とするレシピである。このラガーネというのは、南イタリアで古くから食べられてきた平打ち太麺のパスタのこと。タイトルがおしゃれすぎてちょっと怯んでしまったが、生地を太めにカットすればいいってことだ。そう考えるとそれほど手間はかからなそうだし、サフラン片手に上品な香りを嗅ぎながら調理をスタート! ところが問題発生。ラザニアシートを茹でる段階で、生地がくっついたりバラバラに千切れたりしてしまうのだ。茹で時間を変えても同様だったので江口さんにお聞きしてみると「それは初耳です。通常、記載の茹で時間で問題はないはずですが、もしかしたら茹ですぎたのかもしれません。常にチェックしてもらい、お湯を切った後もオリーブオイルでコーティングするといいでしょう。」とのこと。よくよく箱の記載を見てみると、使用したラザニアは既に下茹でされていたものだった。調理では3〜4分程度茹でていたが、もっと短くさっと茹でるくらいでよかったかもしれない。これは反省。ということで完成形は、サフランや生ハムといった食材の彩りの良さで誤魔化してはいるものの、ちょっとガサツな仕上がりになってしまいました。すみません。しかし肝心の味の方は、江口さんのおっしゃる通りセージ、サフラン、バターの香りが相まってバッチリ最高のあじわい。オリーブオイルと生ハムの塩味、麺のはごたえが食欲をそそる。これはラザニアを頑張って作ったあとのご褒美の一品である。「ラザニアなんて作ったことないよ!」というそこのあなたも気にせずに、まずはこのパスタを作ってみて、余ったシートでついでにラザニアに挑戦してみてはいかがでしょう(本末転倒)!

今回レシピを教えてくれた人
江口研一
翻訳家としてダグラス・クープランドやジュノ・ディアス、パウロ・コエーリョ『ベロニカは死ぬことにした』等の訳書や通訳を行っているほか、映画、音楽、アート、デザイン、建築やフードなどカルチャーに精通し、執筆から評論まで活動は多岐にわたる。「food+things」にて料理家としても活動。
food+things
http://kenichieguchi.com