ライフスタイル

「北東北の」実用逸品!Vol.11

岡部文彦/山のスタイリスト

2022年12月25日

photo & text: Fumihiko Okabe
edit: Masaru Tatsuki

岡部文彦 きこり見習い 現在岩手県岩泉町在住 1976年、岩手県小岩井生まれ

〈MOUNTAIN RESEARCH〉のコバさんの山へ遊びに行っているうちに、自分もやってみたくてしょうがなかった、チェーンソーで木を伐るという行為。正直、木を伐りたいというよりも、その危なくておっかなそうな「チェーンソーという機械を操ってみたい!」という欲求の方が強かったのだと思われ…。そんな憧れのチェーンソーも、移住してみた先が、おもいっきり山奥なもんで、林業も盛んな地域だから、当たり前のように、地域住民がチェーンソーに慣れ親しんでいるご様子であった。

多分、この町の男性諸君の過半数は、チェーンソーで木を伐る経験がある人がかなり多いのかと思われる。岩手といえど、都心近くの新興住宅地で育ち、26年間東京で都会暮らしをしてきた自分にとって、チェーンソーを扱う行為なんて、全くあり得なかったわけで……。よって憧れもより強かったわけで、半ばチェーンソーを操りたくって山に移り住んだようなもんなのだ。

とか言っといて、移住当初、憧れの逸品を手に入れたにも関わらず、歯が鋭くっておっかなそうで怪我しちゃいそうで、数週間エンジンすらかけていなかった我がピカピカのチェーンソーも3年も経つと、そりゃ当たり前に手慣れてくるもんで、いろんな木も伐り倒せるようになった。おかげで愛着も湧いてきてて、現在3台も所有している。いろんなメーカーがある中でも、やっぱり自分は〈STHIL社〉のチェーンソーが、ルックスも使い勝手も大好きで3台全て〈STHIL社〉のものなのである。ハスクバーナとか他にも評判のいいチェーンソーメーカーはあるのだけど、自分はSTHIL一択である。

そもそもエンジン式のチェーンソーを発明したのが、ドイツ人のアンドレアス・シュティールさんであるらしく、やはりそういう元祖的パイオニアなメーカーが自分は好みなのである。この岩泉町は23区以上の面積で、コンビニは2軒しかないのに、チェーンソー屋さんは4軒もあるという林業のメッカみたいな町。今まで見流していたけれど、昔存在したらしい『マッカラー』なるチェーンソーメーカー名を未だに名乗るお店があったり、『東独チェーンソーSTHIL』なんて古い看板が残っているお店もあったり、なるほどなぁ…なんてノスタルジックに感じちゃったりして….。山からチェーンソーで木を伐って、軽トラックで運び、玉切りして、斧で割って、薪作って、ストーブにくべる。そんな北東北の暮らしにはチェーンソーが必需なのである。

プロフィール

岡部文彦

おかべ・ふみひこ|山のスタイリスト。ファッションスタイリスト時代からの庭師見習いを経て、現在の興味は山へ。webショップ「ホームセンターバリカンズ」の店主、農園芸作業着「ハーベスタ!ハビコル」開発の為に林業現場を体感中。

Official Website
https://www.vallicans.com
http://www.harvesta.net