TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】動き続ける服

執筆:ニコラ・ユタナン・シャルモ

2026年2月27日

2018年、私はクラフトマンシップと快適さを大切にする人のための服を作りたいという思いから、〈Sillage(シアージ)〉というブランドを立ち上げました。日本の名だたる生地メーカーから厳選した最高品質の素材を用い、日々のワードローブとして機能する服を提案する。それが始まりでした。

日本に移り住んですぐ、多くのブランドの服が自分の身体にフィットしないことに気づきました。丈が短かったり、サイズが小さく感じられたりしたのです。いちばん大きいサイズでさえそうでした。身長185cmの私にとって、本当にルーズに見えるシャツやパンツを見つけるのは難しかった。だからこそ、自分のレーベルを始める機会を得たとき、そのチャンスを迷わず掴みました。もともとは自分のための服を作るため、できるならそれを多くの人と共有できたら、という思いからスタートしました。

〈シアージ〉は、当初プレオーダー制でスタートしました。最初のデザインは袴パンツから着想を得たもので、タイムレスで象徴的なシルエットを持つことから、今でも作り続けている一着です。不思議なことに、パンツのラインナップの中で最も人気があるわけではありませんが、私にとっては今でも特別な存在です。

また、〈シアージ〉は私自身の冒険からも深くインスピレーションを受けています。旅は創作プロセスの中心にあり、異文化から学び続けることが、私の世界観を絶えず豊かにしてくれます。ブランドディレクターとして、若い父親となった自分にとって「ブランド」とは何かという個人的なビジョンとともに、レーベルも進化していってほしいと考えています。年齢を重ねることは、自然と服の見方を変えていくものです。これまでよりも少しエレガントで、ややルーズさやオーバーサイズ感を抑えたシルエットに惹かれるようになりました。それでもなお、〈シアージ〉の精神は大切にしています。

最近では、日本各地の廃業した名門機屋が残した特別な素材を用い、ブランドのエッセンシャルピースをあらためて見直しています。希少で素晴らしい生地を保有するサプライヤーと仕事ができることを、私たちは幸運に思っています。

〈シアージ〉は、いわば日記のようなもの。時間とともに私がどう装いたいか、その記録であり反映です。嗜好は変化していくもの。その変化をブランドを通して表現したいと考えています。2026年以降も多くのプロジェクトを予定しており、さまざまな意味で、これはまだ始まりに過ぎないと感じています。

プロフィール

ニコラ・ユタナン・シャルモ

パリ生まれ。現在は東京を拠点とするキュレーター、写真家、クリエイティブディレクター。約10年間日本に暮らし、大手工場と共同で日本限定で生産するアパレルブランド〈Sillage〉を設立した。その後、国際的なブランドとファッションイメージやストーリーテリングを手掛けるクリエイティブエージェンシーを設立し、その後、アンティークと現代のものが並ぶ、クラフトと時間を大切にする空間〈Galerie 21〉をオープン。 作品は一貫して旅の伝統と手作りのものの力を探求している。

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