フード

ちょっとの塩水に漬ける、から揚げ。

定番料理のニューディール。Vol.21

定番料理のニューディール。

photo: Haruki Anami
illustration: Cari Vander Yacht
text: Ryota Mukai
web edit: Miu Nakamura
2026年1月 945号初出

2025年12月10日

『BEARD』店主・料理人の原川慎一郎さんによる本誌の連載「定番料理のニューディール」。みんなが好きなお決まりのメニューを再考し、カンタンに、そしてちょっとお洒落に作る方法を料理人の原川慎一郎さんが提案します。POPEYE Webではそのレシピをムービーでご紹介。第21回はから揚げ!

ひと口噛めば「サクサク」どころか「ザクザク」と音が鳴り、皮目はパリッと、身はジューシーで肉汁が溢れてくる。噛むほどに鶏肉本来の旨味が広がり、醤油、にんにく、黒胡椒の風味がさらっと香ってくる。ハイボールも進む進む。

– 材料(2人分)-

・鶏肉 300g
・水 20㎖
・塩 3g
・醤油 小さじ1/2
・にんにく1/3片
・黒胡椒 小さじ1/3
・片栗粉 適量
・米粉 片栗粉と同量

– 作り方 –

1. 鶏肉を常温に戻してから、大ぶりにカットしましょう。軟骨や皮が気になるなら、取ってもいいですよ。

2. ボウルに水、塩、醤油、すりおろしたにんにくと胡椒を入れて、混ぜ合わせます。ここに鶏肉を入れて馴染ませ、5〜10分ほど置きましょう。

3. ボウルで片栗粉と米粉を混ぜ合わせます。ここに鶏肉を投入し、よくまぶしていきます。皮の裏や肉と肉の間など、隙間までくまなく付けてください。粉がしっかり付き、表面が乾くまで、3〜5分ほど置いて馴染ませます。

4. 鶏肉が半分浸るくらいの量の油(分量外)をフライパンに入れ、中火にかけます。箸を入れて泡が出てくるようになる(約160℃)まで熱したら、皮目を下にして鶏肉を入れていきます。裏返すとき以外は鶏肉に触らなくて大丈夫です。1分半たったら裏返し、また1分半たったら裏返して、最後に1分半揚げます。指で表面を押して、はね返りがあるくらい硬くなったらバットに上げて、盛り付けましょう。

– キャロットラペ –

材料(2人分)
・細切りにしたにんじん 50g
・パクチー 2本
・玉ねぎのみじん切り 大さじ1
・レモン(柑橘)汁 大さじ1
・クミンシード 小さじ1
・唐辛子フレーク 小さじ1
・醤油 1、2滴
・塩 ひとつまみ
・サラダ油 大さじ1

ボウルでドレッシングを作ります。玉ねぎのみじん切り、塩、レモン汁、醤油、クミンシード、唐辛子フレーク、サラダ油を入れ、よく混ぜ合わせてください。ここに、細切りにしたにんじんとパクチーを入れて和えたら完成です。

– 今月の古来種 –
函館在来人参

北海道・函館市の北に位置する八雲町で採種・栽培されてきたにんじん。この地域で緩やかに選抜され、根付いてきた。長さ十寸(約30㎝)になるものも。「ごぼうやセロリに似た、濃厚な味わいが特徴です」

古来種野菜とは? 品種改良されず、日本各地の畑で長きにわたり受け継がれてきた種のこと。在来種とも。「野菜の民芸品のようなものです」

– 小さな流儀 –
スパイスは小皿に入れ並べておく。

キッチンのまな板の先には、スパイスを入れた小皿が並ぶ。どれも使用頻度が高いもので、キャロットラペを作るときにもここからクミンをつまんでいた。そのスムーズな所作がいい。ちなみに小皿はインドのもの。

プロフィール

ちょっとの塩水に漬ける、から揚げ。

原川慎一郎
『BEARD』店主

はらかわ・しんいちろう|1978年、静岡県生まれ。長崎県雲仙市でレストラン『BEARD』を営む。北海道函館市のカフェ『cafe water』のオーナーでもある。

Instagram
https://www.instagram.com/beard_shin_harakawa/