カルチャー

壁に貼って待ちたい、2025→2026年の新作映画。【後編】

2025年12月2日

僕たちの好きな21世紀の映画 グレイテスト・ヒッツ。


photo: Keisuke Fukamizu
text: Takumi Tanaka
2025年12月 944号初出

デジタル時代とはいえ、映画のチラシにはやはりワクワクする。どうせなら家の中の上映予告掲示板みたいにして、次の四半世紀を迎えよう。きっとそこには、新たなマイ・グレイテストヒッツが待っている。

1ーGood Luck
足立 紳 12月13日公開

連続テレビ小説『ブギウギ』や『百円の恋』の脚本家による監督作。自称・映画監督の太郎は映画祭に入選するも、主催者から作品を厳しく批判される。翌日隣町へ向かうと太郎の映画を観たという未希と出会い、不思議な彼女に惹かれながら1泊2日の旅が始まる。

2ーエディントンへようこそ
アリ・アスター 12月12日公開

『ミッドサマー』のアリ・アスター監督最新作。舞台はコロナ禍のニューメキシコ州の小さな町エディントンで、マスク着用の小競り合いで始まった市長選。カルト教祖や陰謀論、SNS炎上も絡んでいく、カオス全開のアリ・アスター・ワールドに付いていけるか。

3ー手に魂を込め、歩いてみれば
セピデ・ファルシ 12月5日公開

イランから亡命したセピデ監督が記録した、ガザから出られないフォトジャーナリスト・フォトマとのビデオ通話。空爆や飢餓、ガザの今をフォトマが監督の目となって映す。戦禍を世界に届けるため、命をかけてカメラやビデオに写す人の存在を再認させられる。

4ー世界一不運なお針子の人生最悪な1日
フレディ・マクドナルド 12月19日公開

同名短編がジョエル・コーエン監督に絶賛され製作が決まった、23歳新鋭監督の長編デビュー作。お針子のバーバラは大切なお店が倒産寸前のとき、麻薬取引の現場に遭遇。大金が入ったトランクを目の前に「横取り」「通報」「見て見ぬふり」3択が頭をよぎる。

5ー星と月は天の穴
荒井晴彦 12月19日公開

日本映画界を代表する脚本家が吉行淳之介の小説を映画化。綾野剛が妻に捨てられ愛を拗らせる作家・矢添を演じる。心に空いた穴を埋めるように娼婦との日々を送るが、紀子と出会い奇妙な情事に至ってから矢添の日常と心が揺れ始める。「R18」指定の異色作。

6ーアバター:ファイヤー・アンド・アッシュ
ジェームズ・キャメロン 12月19日公開

第3作では、地球滅亡の危機に瀕した人類が惑星パンドラに侵攻。アバターとして先住民の女性と家族を築いたジェイクは人類との戦いを決意する。1作目から15年以上がたつが、当時の“アバター体験”は忘れがたい。シネコンで大作を観る喜びを実感できる作品は貴重だ。

7ーランニング・マン
エドガー・ライト 1月30日公開

『ベイビー・ドライバー』で爽快なアクション作を放ったエドガー・ライトが、今度はデスゲームを描く。捕まれば即死、逃げ切れば一攫千金、30日間の鬼ごっこ。冷静になると、実験動物を見るように鑑賞している自分にゾッとするけど、たまにスリルが欲しいよね。

8ーおくびょう鳥が歌うほうへ
ノラ・フィングシャイト 1月9日公開

お酒に逃げた日々の記憶を思い悩むロナのアルコール依存症の克服。ロナを演じるのは『レディ・バード』で一躍名を馳せたシアーシャ・ローナン。オレンジ髪の23歳だった彼女ももう30代。また明るいブルーの髪色に染めて、少し大人になった彼女を観に行こう。

9ー黒の牛
蔦 哲一朗 1月23日公開

狩猟民の男は、山中で闇を纏ったように美しい黒の牛と出会う。やがて僧侶の導きで、男と牛は言葉を超えた絆を深めていく。『青春神話』『西瓜』で知られる、台湾人俳優のリー・カンションが主演。静的かつ詩的な作品によく映える彼に、うってつけの役じゃないか。