カルチャー
僕らが観てきた映画のABC。/HIPHOP
Keep it Realなヒップホップ映画。
2025年12月3日
アメリカにおける黒人の現在を、リアルに活写するヒップホップ映画はこれだ。
ヒップホップがUSチャートをここまで席巻するようになったのも21世紀。映画もその影響をモロに受けているのは、ラッパーの伝記作が量産されていることからも明らか。しかし、より重要なのは、ブラック・ライヴズ・マターが全米規模の社会運動に発展して以降、問題意識を共有する作品が数多く作られてきたこと。ここではBLM以前の作品も含めて、ブラックネスを体現するヒップホップの魂が刻まれた名作を紹介。併せて聴いたらアメリカにおける黒人文化への理解が深まりそうな21世紀の名盤もセットでどうぞ。ジェイ・Zだけ20世紀末の作品になったのはご愛嬌!
1. 『ANNIE アニー 』
ウィル・グラック/2014
ミュージカル『アニー』の主人公を黒人に置き換えた本作は、ジェイ・Zとウィル・スミスがプロデューサーを務める。ジェイ・Zはこの映画以前に、「Hard Knock Life (Ghetto Anthem)」という『アニー』のナンバーをサンプリングした楽曲をリリースしているから、かなり好きなのだろう。考えてみれば、ニューヨークの孤児院での暮らしにもへこたれず、明日を夢見て前進するアニーの物語は、ヒップホップでしかない。
\一緒に聴くなら、コレ/
2. 『DOPE ドープ!!』
リック・ファムイーワ/2015
気弱な黒人青年が、ギャングのドラッグ騒動に巻き込まれる青春映画。興味深いのは、彼がチャイルディッシュ・ガンビーノのファンであるがゆえに「白人趣味のオタク」と紹介されること。どういうこと? と思うかもしれないが、実はガンビーノの「Bonfire」をクラブでかけると白人が大盛り上がりするという映像がバズっていたりする。このシーンではヒップホップ界におけるガンビーノの微妙な立ち位置が示されているのだ。
\一緒に聴くなら、コレ/
3. 『ブラック・パンサー』
ライアン・クーグラー/2018
黒人のスーパーヒーローを描き、記録的な大ヒットを飛ばした重要作。そんな中、「Fight The Power: Remix 2020」で「あなたは『ブラック・パンサー』が大好き/でもフレッド・ハンプトンのことじゃない」と歌うのはラッパーのラプソディだ。ハンプトンとは、政治結社ブラックパンサー党の党員の名。この歴史的快挙をきっかけに、黒人のために闘った人の歴史にも思いを馳せようというメッセージが伝わってくる。
\一緒に聴くなら、コレ/
4. 『ヘイト・ユー・ギブ』
ジョージ・ティルマン・ジュニア/2018
白人の富裕層たちが多くいる私立高校へ通う黒人の少女が、白人警官に殺された友人のために立ち上がる社会派ドラマ。タイトルは頭文字を取ると“Thug”になり、亡き2パックの腹のタトゥー“Thug Life”に込められた真の意味が由来らしい。その意味で、21世紀において2パックと対話するようにして作られたケンドリック・ラマーの「Mortal Man」と深く通じ合う。少女の部屋にはケンドリックのポスターも貼られていたしね。
\一緒に聴くなら、コレ/
5. 『40歳の解釈:ラダの場合』
ラダ・ブランク/2020
劇作家として将来を有望視されていたものの、何も成し遂げられぬまま40歳になってしまったラダが、ラップを通して“自分の声”を見つける。そんなラダの姿に、立場は大きく違うとはいえ、大病のため表舞台での活動を控えていたミッシー・エリオットが、48歳のときに14年ぶりにEP『Iconology』を発表した記憶が重なる。両者がリリックの中で歌っているのは、年を重ねても自己表現することを諦めない姿勢なのだから。
\一緒に聴くなら、コレ/
6. 『ホワイト・ボイス』
ブーツ・ライリー/2018
電話営業の職を得た黒人青年が、白人たちが牛耳る企業社会の迷宮に迷い込むSF映画。監督のブーツ・ライリーは、反資本主義を標榜するラッパーや政治活動家として知られ、そのメッセージは本作でも表現されている。ここまでハードコアな作品と同時に聴くべきは、黒人知識人のレジェンド、コーネル・ウェスト教授がアメリカの今をぶった斬ったラップアルバム『Never Forget: A Journey of Revelations』しか思いつかない。
\一緒に聴くなら、コレ/
関連記事
カルチャー
僕らが観てきた映画のABC。/A24
Tシャツで振り返るA24の映画。
2025年11月26日
カルチャー
僕らが観てきた映画のABC。/DOCUMENTARY
ドキドキ、ドキュメンタリー。
2025年11月27日
カルチャー
壁に貼って待ちたい、2025→2026年の新作映画。【前編】
2025年11月18日
カルチャー
壁に貼って待ちたい、2025→2026年の新作映画。【後編】
2025年12月2日
カルチャー
三宅唱のPOP-EYE CINEMA/『旅と日々』
第129回
2025年11月14日
カルチャー
平野啓一郎さんに聞いた、今月の副読書。
Vol.1『文学は何の役に立つのか?』
2025年12月6日
カルチャー
ウェス・アンダーソンの好きな21世紀の映画。
WES ANDERSON
2025年11月16日
カルチャー
どうしてクリストファー・ノーランが好きなんだろう? Vol.1
ノーラン明解Q&A
2025年11月20日
ピックアップ
PROMOTION
〈チューダー〉の時計と、片岡千之助の静かな対話。
Finding a New Pace feat. Sennosuke Kataoka
2025年11月28日
PROMOTION
〈glo™〉の旗艦店が銀座にオープン! 大人への一歩はここからはじめよう。
2025年12月4日
PROMOTION
紳士の身だしなみに、〈パナソニック〉のボディトリマーを。
Panasonic
2025年12月3日
PROMOTION
〈ガンゾ〉今年のクリスマスには財布を贈ろう。
GANZO
2025年12月9日
PROMOTION
ロンドン発 Nothing のPhone (3)は新しいスマホの最適解。
Rakuten Mobile
2025年12月1日
PROMOTION
〈ダムド〉のコンプリートカーで真冬の海を二人占め。
DAMD
2025年12月9日
PROMOTION
見上愛さんと探す、中山競馬場の遊び方。
JRA
2025年12月18日
PROMOTION
「伝説の広報誌『洋酒天国』を語る夜」レポート。
NORMEL TIMES
2025年12月8日
PROMOTION
「PARCO HAPPY HOLIDAYSキャンペーン」を手掛けたジャン・ジュリアンに会ってきた!
PARCO
2025年12月18日
PROMOTION
11月、心斎橋パルコが5周年を迎えるってよ。
PARCO
2025年11月10日
ファッション
今日は〈ル ラボ〉で待ち合わせ。
LE LABO
2025年12月9日
PROMOTION
レゴ®ブロックの遊び心でホリデーシーズンを彩ろう。
レゴジャパン
2025年11月28日