カルチャー
どうしてクリストファー・ノーランが好きなんだろう? Vol.2
ノーランになるために観たい17枚。
2025年11月21日
ノーランになれるものならなってみたい。奇想天外な映画を作れるあの頭脳で世界を眺めてみたい。というわけで、ノーランの頭の中に深くインプットされている17本をリストアップ。21世紀を代表する監督を育てた、20世紀の名作たちだ。馴染みのある作品も少なくないはず。というのも、1970年に生まれたノーランの少年時代はSFのブロックバスター映画の花ざかり期。『スター・ウォーズ』に『未知との遭遇』、『エイリアン』に『ブレードランナー』もラインナップ。他に時系列シャッフルムービーや、ノーランですら難解だという古典も。いざ、インストール。
スタンリー・キューブリック
敬愛するスタンリー・キューブリック監督作のなかでも『2001年宇宙の旅』への思いはひとしお。はじめて観たのは、1978年、8歳のとき。前年に公開した『スター・ウォーズ』の興奮もあって、SFへの興味が高まっていた時期だという。“子供は純粋に観て感じ取るから、当時のほうが理解できていたかもしれない。映画は自由なものだと最初に教えてくれた、いわば映画のパンクロックだね”と語っている。キューブリックの初長編作『現金に体を張れ』は“フィルムノワールの他の作品と比べて内面的な部分が描かれていて、娯楽色の強い作品”。『インセプション』の参考になった。『ダークナイト』ではジョーカーのキャラクターを作る上で『時計じかけのオレンジ』の主人公アレックスを研究したという。さらに『フルメタル・ジャケット』の冒頭をこう紹介する。“海兵隊に入隊する若者が髪を剃られることで、彼らの人格が剥奪されることを感じさせる。作品の概要がわかる、シンプルで見事な手法だ”。このスタイルは『メメント』の画像が消えるポラロイド写真、『ダンケルク』の包囲されたことを知らせるビラなど、端的なファーストシーンに繋がっている。
リドリー・スコット
映画監督の仕事の意味とは? それを気付かせてくれたとノーランが語るのがこの2作。『エイリアン』を観ているとき、数年前に学校で30分だけ観た『ブレードランナー』を思い出したという。“同じ作家の本を2冊読んだりしたときのように、この全く違う2作にも同じ精神が息づいていると感じた”。このとき初めて、どちらもリドリー・スコットの作品だと気がついたという。演出全体をコントロールし、映画の美学を作ることこそが監督の仕事だということも。このときノーランは13、14歳。その早熟さにビビる。
ピンク・フロイドのアルバム『ザ・ウォール』の映画化。様々な時間軸で構成され、記憶と夢の交錯が描かれる。同時期に、学校の必読書で読んだ、時系列が入り乱れるグレアム・スウィフトの小説『ウォーターランド』と併せて、ノーラン少年を魅了した。
NY市警に蔓延る汚職と闘う青年刑事の姿を描く、実話をもとにした社会派ドラマ。本作のテーマをノーランは「汚れた世界でまっとうであることがいかに難しいか」だと語る。その精神は『バットマン ビギンズ』の世界観のなかに完全に取り入れているとも。
映画『コンタクト』の原作小説も手掛けた天文学者が監修する、宇宙ドキュメンタリーTVシリーズ。自身が持っている科学の知識のベースは本作にあると語っている。後々見返して番組の作りが雑だと気がついたというけれど、それはノーランだからでしょ……。
公開はノーランが7歳のとき。8歳で父にコダックのスーパー8㎜カメラをプレゼントしてもらうと、『Space Wars』と名付けた映像を撮ったほど心酔した。シリーズを学校の仲間内で誰よりも早く、最も多く観たことが自慢だった、という可愛らしいエピソードも。
ノーランは自分が育った頃を「スピルバーグ監督が大ヒットを記録した黄金時代」だったと振り返っている。なかでも言及が多いのが本作。人間がエイリアンと遭遇する物語だけど、家族の視点で共感できるように描いている、と。『インターステラー』と一緒!
傑作と呼ばれる映画の共通点を、ノーランは本作を通してこう語っている。“ロレンスは誠実に見えると同時に、与えられた役を演じているか、ただ周りの期待に応えているようにも見える”と。ダークナイトトリロジーにおけるバットマンの存在と重なる。
「映画製作の仕事においては視点がすべて」と語るノーランが、観客の視点をひっくり返した偉業を達成したとして挙げるのが本作。殺人鬼が惨劇の現場を掃除するシーンを見せることで、死体を車に乗せて沈める彼をつい応援したくなる……これぞ構成の妙。
アメリカの都市と風景を捉えたドキュメンタリー。映像はスローモーションやコマ送りで、ナレーションはなく、音楽と映像だけで構成された実験的な一本。本作で流れる音楽がオルガンを効果的に使っていることをヒントに『インターステラー』のスコアが作られた。
イギリス生まれのノーランにとって007シリーズは身近な存在。初めてのボンド映画は7歳で観た『私を愛したスパイ』。『二度死ぬ』の舞台は日本だ。実は『インセプション』の当初の構想は、本作を下敷きにした日本企業との戦いを描くものだった。それも観たい。
オフィスにツーショット写真を額入りで飾っているほど、ノーランが敬愛するマイケル・マン。クライムアクション『ヒート』の舞台・ロサンゼルスは、ダークナイトトリロジーにおけるゴッサムの参考になった。この『ヒート』、続編が製作予定との噂。
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