フード

煮込まない、ラタトゥイユ。

定番料理のニューディール。Vol.16

定番料理のニューディール。

photo: Haruki Anami
illustration: Cari Vander Yacht
text: Ryota Mukai
web edit: Miu Nakamura
2025年8月 940号初出

2025年7月10日

『BEARD』店主・料理人の原川慎一郎さんによる本誌の連載「定番料理のニューディール」。みんなが好きなお決まりのメニューを再考し、カンタンに、そしてちょっとお洒落に作る方法を料理人の原川慎一郎さんが提案します。POPEYE Webではそのレシピをムービーでご紹介。第16回はラタトゥイユ!

バジルが香り、オイルをまとったツヤツヤの野菜が映える。福岡県糸島にある『OKUZOE SEIPAN』のカンパーニュを添えて。「煮込めば時間がたつほど味が染みるけれど、今回は炒めて和えているだけだから、出来たても美味しいんです」

– 材料(2人分)-

・ズッキーニ 1本
・ナス 1本
・玉ねぎ 1個
・パプリカ 1個
・ミニトマト 14個
・にんにく 2片
・バジル 1パック
・タイム 2枝分
・トマトピューレ 大さじ3
・パプリカパウダー 小さじ1
・オリーブオイル 適量
・塩 適量

– 作り方 –

1. ズッキーニ、ナス、玉ねぎ、パプリカは食べ応えを出すために大きめに切ります。ミニトマトは4つ割りに、にんにく(1片)は粗くみじん切りしましょう。

2. 具材を炒めていきます。フライパンにオリーブオイル(大さじ5)を入れ、中火でしっかり温めてからナスを加えます。しっかり油を吸わせましょう。馴染んだら塩(2つまみ)を振り、色づいたらボウルにのせたざるに置いて油を切ってください。同じフライパンで残りの具材も1種類ずつ炒めていきます。どれも塩(2つまみ)を振り、油を切るのは同じです。適宜、オリーブオイルを足してくださいね。

3. フライパンにオリーブオイル(大さじ2)と1のにんにくを入れ、弱火にかけます。香りが立ってきたら、ミニトマト、タイム、トマトピューレ、塩を加え、強火にかけ、沸いたら中弱火に。パプリカパウダーを加えて混ぜましょう。

4. トマトがくたっとしたら、炒めた具材を加えて和えます。水っぽければ煮詰めてくださいね。

5. にんにく(1片)と塩(ひとつまみ)をモルタルに入れてペストルで潰し、香りが出てきたらバジルの葉を加えて潰します。オリーブオイル(大さじ3)を少しずつ足してのばしましょう。

6. ラタトゥイユはバジルペーストを作っている間に粗熱が取れているはずです。皿に盛り、ペーストを添えたら完成です。

– 今月の古来種 –
佐土原ナス

江戸時代から親しまれる宮崎県の伝統野菜。「1980年代に市場から姿を消したものの、約20年後に保管されていた4粒から発芽し復活したという、ストーリーも魅力。江戸時代の豊かな食文化も気になります」

古来種野菜とは? 品種改良されず、日本各地の畑で長きにわたり受け継がれてきた種のこと。在来種とも。「野菜の民芸品のようなものです」

– 小さな流儀 –
ざるとボウルで油を切る。

ボウルにひと回り大きいざるをのせて、即席の油切りの道具に。小さいからコンロ周りに置いても場所を取らず、炒めた具材をスムーズに移動できる。落ちた油の再利用も、ボウルを傾けるだけと簡単だ。

プロフィール

煮込まない、ラタトゥイユ。

原川慎一郎
『BEARD』店主

はらかわ・しんいちろう|1978年、静岡県生まれ。長崎県雲仙市でレストラン『BEARD』を営む。北海道函館市のカフェ『cafe water』のオーナーでもある。

Instagram
https://www.instagram.com/beard_shin_harakawa/