From Editors

古着特集、整いました！

NO.939

2025年6月8日

#From Editors

えー、テニスとかけまして、冬の古着屋さんと解きます。
その心は、どちらもコートの状態が気になるでしょう〜！！
ポパっちです。今月は古着特集。

テレビを見れば古着、YouTubeを見ても古着、街を歩けば古着古着古着と、世はまさに大古着時代。そんないま、僕たちが本当にグッとくる古着ってなんだろう？　ということを今回は１冊通して考えてみました。43組・計50人にお気に入りの古着を見せてもらったり、古着の卸売り倉庫に潜入してみたり、20代の店主が営む古着屋さんに密着してみたりと盛りだくさん！　編集部が厳選した古着店52軒を紹介するショップガイドもつきます。もう迷わない。

僕の担当ページでは、歴史的に価値のある古着にフォーカス。そう、いわゆるヴィンテージですね。不動産のような価格でデニムが取引される世界……当然、社会人2年目の僕にとっては全く未知の領域です。「赤耳って呼ばれてるデニムがあるけど、全然赤く見えないし、全然耳みたいにも見えないよなあ」くらいのレベルからスタート。

北陸まで出張して『FOREMOST』や『MUSHROOM』といった名店を訪れ、いきなり博物館級の逸品を目撃。それからお天気キャスターの今村涼子さんや、芸人のみなみかわさんにヴィンテージ愛を聞いてみたりと、旅をしながら体当たりでヴィンテージを覚えてきました。詳しくは本誌にて確認してほしいですが、どうしても語っておきたいのが、取材中に購入した10万円のデニムジャケットについて。まだヒヨッコの僕にとっては当然初ヴィンテージ、しかも人生史上最大のお買い物でした。これを買った当日から預金口座はあまり見ないようにしています。

今回培った知識を総動員してご説明を。僕の買ったGジャンは71205という球数の少ないモデルで、しかも赤タブがビッグE（不均等V）なので比較的初期のもの。珍品中の珍品といえます。上に乗っている『松田ペット』の瓦せんべいは新潟土産。『松ペ』は地元の人にとって結構メジャーな存在らしく、こちらは珍品とは言えないようです。パッケージ下部に筆文字で記された「健康なくして叶う夢なし」にグッときます。座右の銘にした。

出張中に宿泊したビジネスホテルで、買ったばかりのこいつをハンガーにかけて眺めた時間を思い出します。ステッチの明るいオレンジと、深く色の残ったインディゴの鮮烈なコントラスト。そして幾何学的なV字の切り替え……惚れ惚れします。この惚れ惚れタイム、家でも時々やっています。こいつは自分が持っている全てのボトムスに似合ってくれるなあ、丈感まで完璧だなあ、なんでそんなにオーラが眩しいの？　なんて考えながら。夏が来たらしばらく着れなくなっちゃうなあ。素肌に着ようかな。映画『ウォリアーズ』のように。

古いからエラいわけではないですし、レアなものがエラいわけでもありません。値段や価値は移ろっていくのが世の常。しかしただひとつ揺るがないのは、あなたの「この古着が好きなんだ！」というひたすらな気持ち。これだけは色褪せないでしょう。
うれしい！　たのしい！　心地いい！　それが大事！

（本誌担当編集）米山然