ライフスタイル
即興で一曲と一杯、モダンジャズを聴きにジャズバー『直立猿人』へ。
東京五十音散策 蒲田④
2024年5月20日
photo: Hiroshi Nakamura
text: Fuya Uto
edit: Toromatsu
東京都内の駅名を「あ」から五十音順に選出し、その駅の気になる店やスポットなどを
ぶらりと周っていく連載企画「東京五十音散策」。「か」は蒲田へ。
雨や夕焼けのムードを読み取って、音楽をかけるといつもの景色が少し違って見えたりする。しかも人ぞれぞれで選曲が違うから友人やどこかの店主から教えてもらうとさらに景色が広がることも。土砂降りだったこの日は、蒲田でおよそ半世紀も音を鳴らしているジャズバーへ。
JR蒲田駅から徒歩5分、線路沿いの雑居ビル3階に佇む『直立猿人』は、ジャズ喫茶が全盛期だった1975年に創業した老舗。ロゴはもとより、店内で使っている物や内装を一度も変えずに営業し続けていて、音響をよくするために漆喰で仕上げられた約10畳の店内に、昔に貼られたマイルス・デイヴィスのポスターや写真さえもそのまま残されている。何より圧巻なのは、ABC順で整頓された2,000枚を超えるモダンジャズのレコードだ。
並んでいるものならばリクエストも受け付けているけれど、基本は2代目オーナーの石崎昌也さんがその時の雰囲気に合わせて選ぶ音を楽しみたい。店名の由来でもあるアメリカのジャズベーシストのチャールズ・ミンガスが発表した『ピテカントロプスエレクトス』、ジョン・コルトレーンの『ブルートレイン』といった当時のオリジナル名盤はもちろん、’00年代になってから未発表音源が追加されたレコードやCDも現在進行形で増え続けている。
「機材やレコード盤も高額だから、どこの店に行ってもそこでどれだけ音楽を吸収できるか食い入るように聴いてました」と語るように、石崎さんは学生の頃から喫茶店やバーを練り歩き音楽に精通していった(自宅にロックだけでも約4,000枚のCDがあるらしい)。常連のお客さんだけでなく、徐々に音楽好きな若者も足を踏み入れるようになったのは、そんな石崎さんの自由な開拓精神が伝わっているからだろう。
ジャズバーと言えば飲食ではなく静かに音楽鑑賞をすることに重きを置いた硬派な場のイメージがある。だけどここでは特別なルールはなく、カジュアルに音楽に触れられる。シブめの居酒屋が多い「バーボンロード」で、ふらっと一杯、モダンジャズに耳を傾ける夜を過ごしてみてはどうだろう。
この日のオススメは、左からピアニストのホレス・シルヴァーの『Song For My Father』、サックス奏者のジェリー・マリガンwithチェット・ベイカーの『Gerry Mulligan Quartet』、ハーモニカ奏者のトゥーツ・シールマンスの『THE SOUND』。個人的に最後のアルバムが好み!
ブラックニッカのロック¥600、ミックスナッツ¥300。ウイスキーはボトルでも注文できる。¥5,200〜
初代オーナーの児島さん。体調を崩したことがきっかけで縁あって石崎さんへバトンが渡された。
店名の由来になったチャールズ・ミンガスのアルバム。石崎さん的には聴きにくくあまり流さないらしいけど、そういう点もオーナーが変わった老舗ならではで面白い!
インフォメーション
直立猿人
目印は路面にある小さな電光看板のみと、うっかり素通りしてしまいそうになる隠れ家的な老舗。カウンターが5席、L字のローテーブル席が8つ設けられている。ウイスキーを中心としたお酒やナッツなど乾き物のほか、ノンアルコールドリンクも提供しているから飲めない人やハンドルキーパーでも安心。また、年に何度かライブも開催していて、次回は10月頃を予定している。
◯東京都大田区西蒲田7丁目61−8 エンリコビル ☎︎090・8726・1728 18:00〜23:00 日・祝休
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