ファッション

NYの新星〈Minor Planet〉の提案にどんどん乗っかっていきたい。

2023年12月16日

photo: Hiroshi Nakamura
text: Toromatsu

 想像していたヨギーじゃない! 3年間走り続けたフォレスト・ガンプばりの立派な髭がクールなジェイソン・レヴィーンは、ヨガにランニング、スケート&スノーも大好きなアクティブボーイ。先にざっくり言うと、そんな彼が“アメリカンカジュアルで運動を楽しもうよ”というクラシック派にはたまらないマインドのもと、ニューヨークでブランド〈マイナー・プラネット〉をスタートしたのだ。

 名前の通りマイナーなブランドなのかって? とんでもない。今年10月にローンチすると最初の個展をブルックリンにある『ネペンテス ニューヨーク』で行い、11月に来日。『ポーター表参道ストア』と『ピルグリム・サーフサプライ渋谷店』でポップアップを開催しているのでめちゃくちゃアップカミング。

 そんなジェイとともにこのブランドを手掛けるのは、繊維商社タキヒヨーのニューヨーク支店で12年間ディレクターを務めているヤマダ・タカシさん。ジェイをタキヒヨーのオフィスに招いてヨガを教えてもらった際に、意気投合したのだそう。「過去に2回インドに行ったけどヨガスタジオなんてないし、トレーニングウェアを着ている人もいない。ヨガのシーンに少し疑問を抱いていたら、まさにジェイが同じ考えだった。カレッジTeeや天然繊維の服でやっている。ウチの生産と生地背景を使って一緒に服を作ろうってなった」と教えてくれた。

 ブランド名のマイナーは少ないことではなく、小惑星を意味する。ランニングやヨガで機能系ウェアを着ている人たちを大惑星とするなら、彼らが目指すべくは、そこに取り込まれずに残った物質(つまりクラシック派)によって形成される小惑星ということ。

ムービングメディテーションをグラフィックに落とし込んだインナースペースTee。メディテーションは座ってやるだけじゃない。走っていたり、サーフィンしていたりしながらでもできる!¥8,500

「今ヨガをやっている人たちのスタイルを変えたいとかはあまりない。新しい層を作れるといいなとは思っている。走ってなかった人に走ってほしい。ニューヨークでもスキーができるし、サーフィンだってできる。走ることも、ヨガをやることも。でもハイテクノロジーのウェアは、街にあまり馴染まない。僕たちのスローガンは“アンプロフェッショナルテクノロジー”。それと“マインドフルネス”。現在の心に注意を向けて、身体の状態や考えごとに集中することも街では必要」とジェイ。いろんなことに振り回されるけど、自分のペースでいつもより少しだけ運動して幸せになれればいいという考えなのだそう。

 取材後、ジェイと一緒に瞑想と呼吸をすることに。まずは一分深呼吸。目を閉じて勢いよく鼻から空気を吸って、フーっと息を一気に吐く動作を計20回。それを終えると息を吐ききってから呼吸を止める。苦しくなったら今度は鼻から空気を吸ってまた呼吸を止める。このすべての動作を2セット。

 終えたあと、目を開けると代々木公園がまるで別世界! ジェイの顔を見ると「これからの時代のドラッグはこれだよ」と一言。やられた。この街で、僕たちの好きなカジュアルウェアを着てヘルシーなことをする。それがこれからのエッジなら、喜んで賛同していきたい。

プロフィール

マイナープラネット

Jason Levine(右)、Takashi Yamada(左)

ジェイソン・レヴィーン|クリエイティブディレクター。ニューヨークのラグジュアリーブランド〈ラグアンドボーン〉のデザイナーを経て、ヨガのインストラクターに。2023年10月にブランド〈マイナープラネット〉を始動。フードにもめっぽうこだわっている。

ヤマダ・タカシ|ディレクター。繊維商社タキヒヨーのニューヨーク支店のディレクターでもある。いわば生地や生産のプロ。凍える冷たさのニューヨーク・ロッカウェイビーチでいつもサーフィンをしているたくましい人で、ジョギングやヨガも人並みにこなす。

Official Website
https://minorplanetny.com/

Instagram
https://www.instagram.com/minorplanetny/