正直なところ、私は自分がデンマークのテニス文化の一部であるとは思っていません。私はデンマークのテニスクラブで育っていませんし、友人や家族も所属していませんでした。少年時代はスケートボードに明け暮れ、テニスとは無縁の生活を送っていましたから。しかし、2年弱前にテニスを始めて、このスポーツとその世界にすっかり魅了されてしまいました。そこで、テニスカルチャーをルーツとした、オンコート・オフコート兼用のメンズウェアブランド〈Palmes〉を立ち上げたのです。私たちが本当にやりたいことは、スポーツや文化としてのテニスはすべての人のためのものであるべきだということを示すこと。スポーツを楽しみ、コート上で友人と楽しむことができれば、あなたが誰であるか、どこから来たかは関係ありません。
ですから、私がお伝えできるのは、デンマークだけでなく世界中の多くの地域で、テニス文化がどのようなものかについて、私の個人的な意見をお伝えすることだけだと思っています。

デンマークでは、テニスクラブに所属していないとプレーできません。スケート場やサッカー場のように、誰もが気軽に利用できる公共のコートはないのです。つまり、閉ざされたバブルのようなものと言えるでしょう。私が住んでいるコペンハーゲンのクラブのほとんどは、入会待ちの長いリストがあります。運動のため、社交のため、日常生活からの脱却のため、あるいは完璧なフォアハンドをコートに打ち込んだときの喜びのためなど、テニスが好きだからテニスをしている人たちしかいないのです。


確かにテニスをする人はたくさんいますが、スケートボードのような文化があるわけではありませんし、そのアクティビティを通して仲良くなれるコミュニティもありません。少なくとも今は。そんな中、〈Palmes〉の目的は、文化としてのテニスの魅力を共有することで、人々がつながり、絆を深め、交流できるイベントを作ることなどです。
来年はやりたいことがあります。子供の頃は、シティのあちこちにスケートできる場所を探していました。例えば、朝の縁石やフラットグラウンド、マニュアルパッドのある広場でスケートをして、その後、階段やレールを使って、最後はまた広場に戻ってくきました。〈Palmes〉では、子供の頃にスケートボードで街を探検したように、参加したい人を集めて、自転車で街中のクレーコートやハードコートを1日中走り回るようなイベントをやりたいと思っています。
私たちの正式名称が〈Palmes Tennis Society〉ということの意味は、そこにこそあります。テニスや〈Palmes〉は、テニスボールを打ったことがない人から子供の頃からやっている人まで、誰でも参加できる会なんですから。
