ライフスタイル

【#1】One day in Fukuoka 前編

執筆: しまおまほ

2023年9月9日

photo & text: Maho Shimao
edit: Yukako Kazuno

7月上旬。4年ぶりの福岡。早朝、九州に降った大雨の影響で飛行機が2時間遅れて出発。おかげで着いた頃にはランチの時間はとっくに過ぎてしまった。審査会があるアクロス福岡の地下の『味の正福』でごま鯖定食を食べるのを楽しみにしていたのに。

審査会とは「日本民間放送連盟賞」の審査のこと。全国の放送局からエントリーされたラジオ番組の中から優秀作を選ぶこの賞の九州・沖縄地区の審査員を10年ほど前からしていて、コロナ前は審査のある7月になると毎年福岡に来ていたのです。この時期の博多は博多祇園山笠一色で、街に高揚感がある。商店街には立派な飾り山笠、街のあちこちに褌姿の男たち。

昼食は結局喫茶店のトマトパスタになった。三十路半ばまでひとりで外食ができなかった。自分から物悲しさが漂っているのでは、という自意識と目線をどこへやったらいいかわからない不安。今もできればひとりご飯は避けたい派。

審査を終えて一旦ホテルへチェックインに行くと、背広の中年男性がフロントにクレームを入れている。大雨の影響で断水中とのことで、急遽宿泊先が変更に。7月に九州の水害ニュースを聞くのも珍しくなくなってしまった。移動したホテルの周辺を散策すると古くていい感じの銭湯が。実は…ホテルの風呂も怖い。ので、夜の入浴はここに決めた。

福岡の銭湯

夜の懇談会で久しぶりにホフディランの小宮山雄飛さんに会った。雄飛さんが時々トンツカタン森本と同じシャツ(ランジャタイ国崎が毎回「大気圏突入中ですか」とツッコむシャツ)を着てるのが気になっている。

二次会は薬院駅前にある『納豆家 粘ランド(ネバーランド)』という店に。福岡で…! 納豆! 正福逃した夜に! つーか店名…! と、心の叫びがこだましつつ、納豆コロッケ、納豆カルボナーラ、最後は納豆レアチーズケーキまで堪能して満足。店主との納豆ジャンケンでは特賞をゲット。

帰りに銭湯に寄って部屋に戻る。テレビをつけたらSixTONESの森本慎太郎が出ていて、またトンツカタンを思い出した。(続)

プロフィール

しまおまほ

しまお・まほ | 漫画家、エッセイスト。1978年、東京生まれ。多摩美術大学在学中の1997年にマンガ『女子高生ゴリコ』でデビュー。主な著書に『しまおまほのひとりオリーブ調査隊』『まほちゃんの家』『スーベニア』『家族って』などがある。最新刊は『しまおまほのおしえてコドモNOW!』。POPEYE本誌では「しまおまほのセクよろ2」を連載中。