村上春樹さんのラジオ番組『村上RADIO』企画のライブ音源がアナログ・レコードになっちゃいました。というのは昨年の7月に行われた、番組のイベント『村上春樹 presents 山下洋輔トリオ再乱入ライブ』の模様がアナログレコードとしてリリースされるんです。

「再乱入ライブ」とは1969年7月、学生運動の嵐が吹き荒れる中、バリケードの中で演奏された山下洋輔トリオの伝説のライブの爆演が50年の時を経て、再結集、つまり「再乱入」したわけです。

　まずはレコードのリリースにあたっての村上さんのメッセージ。

「記念すべき貴重な記録だし、また演奏内容も素晴らしいものなので、1人でも多くの人に聴いていただければと思います。とくに若い人たちに聴いてもらえると嬉しいですね。今聴いても、というか、今聴くからこそ新鮮な音楽なんです」

　演目は山下洋輔トリオによる、村上さん曰く、「フリー・ジャズというかなり乱暴な種類の音楽 」。一言でいえば、伝統的なジャズメソッドを取り払った即興演奏ってわけだ。山下さんですら、フリージャズ発祥当時は「なんだこれは！　でたらめではないか！　こういうものには近寄ってはならない」と敬遠したらしい。とはいえ、時代は寛容で、ヒットホップ以降の僕らには、わりと耳なじみもいいし、気分よく反応するたぐいのサウンドだ。村上さんが言うように、今聴くからこそ新鮮な音楽なんだ。

　そんな50年前と同じメンバー、同じ曲目、同じ曲順の、村上春樹 presentsによる爆演が、レコードになったっていうんだから、ちょっと聞き捨てならない話かもね。