カルチャー

サーフボーイのための教科書は、星月夜にある!

ブックカフェ 星月夜書房

2021年12月7日

photo: Keisuke Fukamizu
text: Toromatsu 

 創刊当時の『ポパイ』でも積極的に取り上げていたサーフィンが、今また人気を集めている。湘南の海は、どこを切り取ってもまるで“カラスの群れのように(ユーミンの名曲「真冬のサーファー」より)”、ウエットスーツを着た人ばかり。しかし何事でもそうだけど、ブームのときこそ試されるのはスキルよりも、いかにそのカルチャーに対して造詣が深いかどうかだ。我が国ニッポンのサーフィン文化を知らずして、波や、海外からくる流行のウネリにばかり目を向けていてはいけない。センパイたちが残してきたいくつものサーフ指南書を見てみてはいかがだろう。

 機を見るに敏、というわけではないが、鎌倉の由比ガ浜通りに、サーフィン古書を中心に扱うブックカフェ『星月夜書房』がオープンした。サーフィンにまつわる洋書が見られるお店は、きっといくつもあると思うけど、ここの特筆すべきところは、ニッポンの書籍が中心に置かれているということ。

 その選書ときたら極めておもしろい。『毎日グラフ』や『少年マガジン』などにおける60年代初期の日本サーフィン創成期頃の記事や、70年代に日本で生まれたサーフィン雑誌『サーフマガジン』の創刊号、当時のハウツー本『たのしいサーフィン』などなど。

 他にも我らが『ポパイ』、『平凡パンチ』のサーフィンにフォーカスした特集や、書籍も片岡義男の各作品、日本で最初にサーフボードレーベルを立ち上げたと言われる高橋太郎の物語『白いサーフボード』、星新一の娘でサーファー・星マリナが手掛けた『わたしの波乗り日記in Hawaii』といったセレクトで気になるものがいっぱいある。

青山学院大学在学中に全日本サーフィン選手権大会を4連覇した星マリナ(父は星新一!)のハワイサーフィン滞在記。

 店主の杉山登さんは、東京・渋谷で生まれ育ったシティボーイで、長年かけてこれらの資料をコレクトしてきた文化系サーファー!(それでいてサーフィンも、めちゃくちゃクラシックでスタイリッシュ)。日によってはサーフィンにまつわる貴重な映画を2本立て上映するなど、学びのツールが本だけにとどまらないのも面白いところ。おいしいコーヒーとヘルシーフードも作ってくれる星月夜は、僕たちにサーフィンの新しい側面を教えてくれること間違いなしだ!