カルチャー
東京のことをよーく知るための自由研究 /鑑賞池 – 東京のシンボル編 –
2021年4月29日

普段使いの東京案内。
illustration: João Fazenda (portrait),
Hiroyuki Suzuki (image)
text: Neo Iida
2021年5月 889号初出
シンボルの存在に気づくと、町の解像度があがる。
平素、通勤や通学で通り過ぎる町の隅っこには、様々なシンボルが潜んでいる。ひとたび存在を知れば、風景がチョット変わって見える地歴の足跡。その正しい採取方法を、地歴好事家の鑑賞池さんに教えてもらった。最初に教えてくれたのは、海抜表示板。地下鉄の出入り口で見かけるアレだ。
「津波被害を防ぐために市区町村が設置しているものですが、東京の地形を知るひとつの物差しになります。江戸時代の埋め立てで出来上がった墨田区は海抜よりも低いマイナス地帯で、武蔵野台地にある杉並区は44mもある。電車に乗っていると気づきませんが、我々は一日のうちに相当な高低差を移動しているんです」
地理 1
海抜表示板で自分の立ち位置を知る。


東と西でそんなに違うとは! 今度から高さを意識して歩いてみよう。続いて教えてくれたのは「碑と塚」。
「碑というのは、設置した場所に縁のある文字を刻んだもの。〝発祥の地〟なんかはわりと見つけやすいと思います。塚はさらに弔いの気持ちが加わった供養塔。形が独特なものが多く、不忍池の〝めがね塚〟はフレームが描かれ、東品川の〝鯨塚〟は背びれに見える。一度にいろんな塚を見たい方は、築地の波除神社がおすすめ。〝玉子塚〟や〝海老塚〟などをいっぺんに拝めます」
鑑賞池さんが最近見つけたのが、有楽町の「南町奉行所の記念碑」だそうなのだが、しかしてその実態は……。
「配電盤と思しき物体に、石の模様のシールを貼り付けただけ。『遠山の金さん』で有名な奉行所なので記念碑を建てる価値はわかりますが、これほど後世に残す気概のない碑は見たことがないし、とても好き。再開発で新陳代謝するビル群を見れば、今や石碑は不要なのかも。まさしく東京の象徴ですね」
地理 2
碑と塚でその土地に根付く歴史を知る。

最後に押さえるべきは〝起点〟。東京には様々なスタート地点があるという。「まずは鉄道の起点。東京駅は多くの鉄道のスタート地点なので、線路脇には始まりの基準を示す〝ゼロキロポスト〟という標識が立っています。形が路線ごとに異なるので、思わず全部見たくなる。さらに日本橋には国道の起点〝日本国道路元標〟が、憲政記念館構内には標高の起点〝日本水準原点〟がある。この2つは開国後、江戸が東京になってから設置されたもの。近代都市化の起点とも言える気がします」
地理 3
東京には日本のゼロがたくさん。


教えを受け、視界に映らなかったシンボルが浮き上がって見えるぞ。東京の解像度がグッとあがった!
一緒に研究した人
鑑賞池
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