ライフスタイル

アノニマスなヴィンテージ家具の良さを知りたい。

家具大国デンマークは作りよろしく、デザインに無駄なし。

2023年3月10日

シティボーイの部屋 ’23


photo: Kazufumi Shimoyashiki
text: Shoko Yoshida
edit: Tamio Ogasawara
2023年3月 911号初出

 世界に名を馳せるデザイナーズの家具は当然格好いい。だがしかし、何事も社会的評価だけを頼りに無闇に選ぶのはもったいなく、例えば、北欧に暮らす若者などは古着を掘る感覚で街のインテリアショップにふらりと立ち寄り、好みのリーズナブルな家具を見つけては、サーフボードのように小脇に抱えて持ち帰るという。そう、家具は自由に、そしてもっと好きに選んでいいのだ。今回訪れたのは、『北欧家具 talo』。様々な国から集められた無名の大衆家具は、知るほどに個性に溢れ、芸術し、型破りな細部に神を宿す。しかも、素材や作りも変わらずよいのに、ちょい手頃。店主の話に耳を傾け、己の感性を信じ探してみれば、誰がなんと言おうと心ときめく一点に出合えるはずだ。

’70 年代・スウェーデンのチェスト¥68,200
デンマーク同様、量産向きのシンプルな作りと主張の少ない装飾。
’60 年代・フィンランドのフロアランプ¥77,000
’50~’60年代・デンマークのライティングデスク¥220,000
60 年代・デンマークのダイニングチェア 左¥36,300 、右¥37,950 ※座面の生地は張り替え可能、生地により値段変動あり。
木材や脚の形は様々だが、座面が広く、4本脚に背もたれ付きがデンマーク椅子の基本。
’50~’60年代・デンマークの壁掛けミラー¥39,600
’60~’70年代・デンマークの引き出し付きサイドテーブル¥52,800
’30 〜’40 年代・フィンランドの円形テーブル¥69,300
美しさ<実用性なフィンランドらしく、天板に脚を付け色を塗っただけの素朴な作り。
’60 年代・デンマークの6段チェスト¥121,000
’60 ~’70 年代・デンマークのスクールチェア¥22,000

インフォメーション

北欧家具 タロ

2022年にちょいと西へお引っ越しした『北欧家具 talo』。アアルトやウェグナーといった巨匠ものはもちろん、数が揃うデンマーク製アノニマス家具の見応えも十分。素人目に見てもどれも作りが丈夫かつ丁寧で、よき具合にシンプル。加えて、少しリーズナブル。北欧家具の深遠なる知識を持つ山口太郎さんが説くに、家具産業が盛んなデンマークでは、メーカーが工業製品として工業デザイナーや職人を雇って作ったものが基本ゆえに、ノーネームで販売されたものでもクオリティが高いとのこと。いい意味で作りが簡易的なのは大量生産、コスト削減のためだが、結果的にどんなテイストにも部屋にも合う普遍的な魅力を発動。デンマーク家具、恐るべしである。

◯神奈川県秦野市沼代新町5-31 0463·80·9700 10:00~18:30 火休