ライフスタイル

世界の部屋。/PORTLAND

2023年2月17日

イランの文化と、現代アートと、ミッドセンチュリーと。

Bijan Berahimi
ビジャン・ベラヒミ|グラフィックデザイナー、FISK Projects/Gallery ファウンダー。1989年、カリフォルニア州生まれのイラン系米国人2世。カリフォルニア芸術大学時代の2009年に始めた音楽やZINEなどにまつわるプロジェクト「FISK」が原点。ギャラリー運営や物販などを統括。
Abby Morgan
アビー・モーガン|1992年、オレゴン州生まれ。オレゴン大学で歴史建築などを学び、インテリアを得意とするライター。

 原色を組み合わせることに躊躇はなく、むしろ色彩は僕のアイデンティティだと思っている」。青と赤をキーカラーに配した珍しいミッドセンチュリーハウスに遭遇し、この家ありきで馴染みのない郊外に越してきたビジャンとアビー。自身のデザイン事務所&ギャラリー『FISK』を通して出会ったアーティストの作品や、ビジャンのルーツであるイランの装飾が混在したインテリアは、この家自体が持つ個性とヴィヴィッドに共鳴する。「箱がミッドセンチュリーだからこそ、王道より少しquirky(風変わり)な家具がしっくりくるんだ」。器や植物を特注したり、スリフトで見つけたものを塗り替えたり、家と共に“ふたりのカラー”を等身大で体現している。

バウハウス建築の巨匠、ミース・ファン・デル・ローエの名作「ファンズワース邸」にインスパイアされた箱型建築。リビングと長方形につながるダイニングには可動式の間仕切りも。「用途によって空間を分ける日本の障子戸のようだよね」。ビジャンはトルコで製作中のラグのサンプルカラーを見定め中。愛犬のチャーリーとは一緒に暮らして6年になる。
赤や青を大胆に組み合わせたインテリアは、イラン系アメリカ人2世であるビジャンの「超カラフルな装飾に囲まれて育った」文化と、オランダの抽象画家、ピート・モンドリアンの影響を有するこの家自身のキャラクターが融合したもの。友人たちのアート群がどこにもないポップな空間へと仕上げている。ちなみに「壁(アート)と床(ラグ)は」ビジャン、それ以外がアビーの担当、なのだとか。

-LIVING ROOM-

半年以上探したカウチは全米に店舗を構える老舗家具メーカー〈Dania〉。シルエット、奥行き、真っ赤な色が決め手。右の壁のアートは、カリフォルニア在住のAaron Elvis Jupinの作品で、ディズニー映画『ファンタジア』へのオマージュ。左の壁・中央はフィンランド人作家Annu Kilpeläinenの作品。飾っているもののほとんどが、『FISK』で個展を行った作家のもの。

EXTERIOR

内と外の一体感を演出する全面ガラス張りのリビングとサンルーム。鋸屋根に配された青と赤のアクセントは室内でも随所に見られるモンドリアンの影響。アウトドアの家具も青で統一。
「少し郊外に来たからこそ得られた完全にプライベートな庭。元のオーナーが設えた日本庭園も同じ庭師に依頼して復元させているよ」

DINING ROOM-

スリフトショップで見つけた’90年代の〈IKEA〉のダイニングテーブルは天板を緑から青に塗り替えて家のキーカラーとマッチ。右奥のペイントはビジャンの作品。左奥のプレートはイランで日用品として使われているもの。
ポートランドの家具作家、Matthew Philip Whilliams に特注したサイドテーブル。

DINING&KITCHEN

街のスリフトショップで見つけたオールド・イケアのランプが優しく照らすメインダイニング。市街地から車で20分、初の郊外への引っ越しで「家はサンクチュアリと捉えられるように」なり、ゆとりとメリハリが生まれた。後ろの絵はレコードジャケットのデザインを『FISK』が手掛ける、友人でミュージシャンのToro y MoiことChaz Bear の作品。
〈KIOSK48TH〉のリサイクルプラスチックを使ったカッティングボードなど、デンマークのブランドのものも。

BATHROOM

OFFICE

部屋
ふたつデスクが並んでいるが、この家に越して以来、完全に「家ではオフ」と決めたビジャンにとってこちらはライブラリーで、主にアビーの仕事部屋。エステートセールで見つけたブランケット、赤い丸テーブルはオールド・イケア。
仕事場にも見事に原色と友人たちのアートや民藝品(凧まで!)がちりばめられている。

-BEDROOM-

bed room
寝室で存在感を放つアートはTokyo Art Book Fairで知り合って以来の親友・大河原健太郎の作品。ベッドの花柄ブランケットは床のイランのラグをもとにビジャンがデザインした〈FISK〉のオリジナル。「大人になってやっと自分のルーツであるイラン文化を自負できるようになった」。近い将来、テキスタイルをはじめ、暮らしのためのプロダクトをコラボ製作していきたいと思っているそう。