フード

味噌汁のイメージで作る、スンドゥブチゲ。

定番料理のニューディール。Vol.10

photo: Haruki Anami
illustration: Cari Vander Yacht
text: Ryota Mukai
web edit: Miu Nakamura
2025年2月 934号初出

2025年1月10日

『BEARD』店主・料理人の原川慎一郎さんによる本誌の連載「定番料理のニューディール」。みんなが好きなお決まりのメニューを再考し、カンタンに、そしてちょっとお洒落に作る方法を料理人の原川慎一郎さんが提案します。POPEYE Webではそのレシピをムービーでご紹介。第10回はスンドゥブチゲ!

グツグツと鳴る音、最後に加えた黒胡椒の香り、そして唐辛子の赤色が食欲をそそる。器は直火にも対応する韓国土鍋のトゥッペギを使用。ネットで1000円ほどで買えるものもある。食卓に出てくるだけで一気にテンションが上がる一品だ。「ししとうの代わりに伏見甘長とうがらしを仕上げに添えると、甘味もあり、より複雑な味わいになりますよ」

– 材料(1人分)-

・豆腐 適量
・豚ひき肉 30g
・魚介類 お好みで
・卵 1個
・ねぎ 1/3本
・玉ねぎ 1/2個
・にんにく 1片
・ししとう 1本
・唐辛子パウダー 10g
・パプリカパウダー 大さじ1
・砂糖 5g
・醤油 大さじ1
・味噌 小さじ1
・水 200㎖
・菜種油 20㎖
・ごま油 10㎖
・塩 3g
・黒胡椒 適量

– 作り方 –

1. ねぎを小口切りに、玉ねぎをみじん切りにする。どちらもできるだけ薄く、細かくしてください。トッピングに使うししとうも刻んでおきましょう。

2. 小鍋に菜種油とごま油を入れ中火にかけ、温まったらねぎと豚ひき肉を加え、馴染んできたら玉ねぎを入れて炒める。焦がさないように。

3. 2に、にんにくをすり下ろし、塩、唐辛子パウダー(本場並みの辛さは+15g)、パプリカパウダー、砂糖を入れ、馴染んだら、醤油を入れる。

4. 3で醤油をひと煮立ちさせたら、小鍋を火から外してください。ここに味噌を加えて木べらなどでよく混ぜ合わせます。味噌は好みのものでOKです。味噌汁で味噌を溶かすときと同じで、火は入れずに進めましょう。熱を加え過ぎると味噌の風味が飛んでしまいます。全体が混ざったら唐辛子ペーストの完成です。これだけでご飯のお供にもなりますよ。

5. 別の小鍋に水を入れ、中火にかけて4の唐辛子ペースト(150g程度)を加えて溶かします。あれば、直火対応の韓国土鍋がいいですね。

6. 5が沸いたら豆腐を加えます。魚介・肉・野菜など他の具材を入れるなら、豆腐を入れる前に加えて、火が通ったら豆腐を入れましょう。

7. 豆腐が入ってぬるくなった鍋が再び温まったら卵を入れて煮る。卵が好みの状態になったら最初に刻んだししとうと黒胡椒をかけて完成です。

– 今月の古来種 –

味噌汁のイメージで作る、スンドゥブチゲ。

岩津ねぎ

兵庫県朝来市の在来種。冬の栄養源として江戸時代に栽培が始まったとされる。「火にかけると、とろっとして甘味が出る、鍋向きの品種です。雲仙でも岩崎政利さんが30年近く種を採り、作り続けています」

古来種野菜とは? 品種改良されず、日本各地の畑で長きにわたり受け継がれてきた種の野菜のこと。在来種ともいわれる。「野菜の民芸品のようなものです」

– 小さな流儀 –
小型かつ十分な片手鍋をひとつ。

唐辛子ペースト作りに使用した鍋は、江部松商事の〈EBMプロシェフ〉の浅型片手鍋。内径16㎝の小ぶりなサイズだ。小回りが利くし、実は容量は1.2ℓもある。僕らの日常にはこれくらいがちょうどいい。

プロフィール

味噌汁のイメージで作る、スンドゥブチゲ。

原川慎一郎
『BEARD』店主

はらかわ・しんいちろう|1978年、静岡県生まれ。長崎県雲仙市でレストラン『BEARD』を営む。北海道函館市のカフェ『cafe water』のオーナーでもある。

Instagram
https://www.instagram.com/beard_shin_harakawa/