カルチャー
別れては付き合う、不思議な恋人。/文・塩塚モエカ
2021年12月21日
色々あったけど、ヨリを戻す恋もある。ハートブレイクの苦い記憶はあるものの、やっぱり一緒にいたら居心地がいい。好みもわかってるし、共通の友達だっているし、思い出話にも花が咲く。羊文学のボーカル、ギターの塩塚モエカさんにも、3回付き合った恋人がいたんだそうだ。むしろ絆が強すぎる? 何度も巡り合う、不思議な縁で結ばれた恋のこと。

告白されたことも少ないし、自分から告白したことも2回だけ。しかもその2回とも振られて、めっちゃ落ち込みました。振られても別れても引きずりますね。大抵、次に好きな人が現れるまで落ち込みっぱなし。昔は、別れたあとで友達みたいに連絡をとり合うこともありました。別れたときのことを忘れてて、元気にしてるかなあと思って会うんだけど、30分くらい話すと「だから別れたんだった!」って色々蘇ってきて。自分にも相手にもあまりいいことないから、もうしません。
でもひとりだけ、別れたあともずっと仲が良くて、高校生、大学生、社会人って節目ごとに3回付き合った人がいるんです。ちょっと変わってたんですよね。宇宙とか民族とか宗教とか、万物を深く知ろうとする人で。出会った頃はバンドでドラムを叩いていて、実験的なメタルとか、不思議な音楽をたくさん聴いていました。人として面白くて、けっこう影響を受けました。10代の頃から知ってるから、成長もわかるんです。最初に付き合った高校生のとき、クリスマスデートで昭和記念公園に行ったんですね。私は男の子とちゃんとお付き合いするのが初めてだったので、ケーキも焼いて、色々と準備して出かけて。で、カフェでお茶してるときに、プレゼントを渡したんです。そうしたら彼が「僕は何も用意してない!」って急に号泣して。それ見て「めんどくさっ」と思っちゃって。泣くくらいなら準備すればいいのにって。それで関係が悪くなって、別れてしまいました。2回目もすぐ別れたけど、3回目は長くて、ついに彼がプレゼントを用意してくれたんですよ。しかもバレンタインに。私が好きそうなチョコレートを調べて、ネットで取り寄せてくれて。しかも手紙付き。昔はあんなに泣いてたのに、できるようになったんだね! ってものすごく感動しました。
自信のない部分に関して、特に恋人には、はっきり言えなかったんです。「この服いいと思うよ」って言われたら、気を使ってなんとなく買っちゃう。でもその不思議な彼は、「一緒にいるときはそれぞれが機嫌いいように過ごそう」っていう感じで、押し付けないんです。お互い好きなことを尊重できて、ラクでした。とはいえ、本当は二人で美術館に行く、みたいなこともしたいんです。私は彼の「トルコに天使のおじさんが現れた話」みたいな不思議トークも大好きで、よく聞いているから、アートが苦手な彼を一回だけ森美術館に誘ったんです。彼は「君が好きなものも理解してみようと思う」って来てくれて。でも鑑賞後に「もっとハッキリ表現しないとダメだと思う」って感想をバーッて語られて、私も「だったら来なくていいから」って感じになってしまって。好きな人とこう過ごしたい、って人によって違うし、正解がない。二人のペースがあるなら、尊重するのがいちばんなんだと思います。
プロフィール
塩塚モエカ
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