カルチャー

【#4】私のフィルム愛について

2021年10月1日

写真を撮るのが好きです。とりわけ、フィルムで撮る写真。カメラ好きの父の影響なのか、カメラを向けてもらう機会が多いこの仕事の影響なのかわからないけれど、気づいたらトリコでした。

初めて自分のカメラを手に入れた時は高校生くらいの頃。祖父が愛用していたコンパクトフィルムを譲り受け、いじり出してみてから私のカメラ人生はスタート!カメラを持ってふらふらと散策してみたり、旅先で心が動いた風景にパチリとしてみたり。どこへ行くにも鞄の中に忍ばせ、いつ訪れるか分からないシャッターチャンスに備えている。

なぜフィルムで撮るのが好きかというと、シャッターを切ったその瞬間の光や温度が、しっかりと写真に焼き付くような気がするからだ。どんどん文明が進む今、スマホでもびっくりするくらい簡単に上質な写真が撮れる。たった数秒で撮れる、シャープで鮮明な写真もいいけれど、なんだかクレバーすぎる感じがして少し物足りないなぁと思ってしまう。

それに対してフィルムカメラはあんまり言うことを聞いてくれない。現像に出した時、24枚中5枚くらいしかいい写真が撮れていないこともあるし(私の技量不足のせいでもある)、ブレるしピンボケするし、時間もお金もかかる。だけどフィルムは、自分の目で見たまま、感じたままをちゃんと写真の中に閉じ込めてくれる気がする。デジタル以上に正直で、嘘のつけない感じ。現像し終わった写真を見るときの、宝箱を開けるような気持ちもどうしようもなくたまらない。

ここでフィルムの写真のいくつかを紹介!

小田急線ホーム。
好きな映画。
海辺。
わたし。近影。

フィルムは、時間も温度も光も気持ちも、何でもかんでも閉じ込めてくれるタイムカプセルみたいだなと思う。いまの状況が落ち着いたら、スマホを置いて、カメラだけを持って、1日ふらりと好きな場所を旅してみたいなぁ。

フィルムの奥深いあたたかさを、これからもじっくり堪能したい。

プロフィール

上白石萌歌

かみしらいしもか|2000年生まれ、鹿児島県出身。2011年第7回「東宝シンデレラ」オーディショングランプリを受賞し、デビュー。主な出演作に、ドラマ『義母と娘のブルース』『教場Ⅱ』など。adieu名義で音楽活動も行う。初主演映画『子供はわかってあげない』が公開中。10月3日より始まる連続ドラマW『ソロモンの偽証』(WOWOW)で主演を務める。