ライフスタイル

シティガールのロンドンの歩き方。

2026年10月13日

ぼくたちが気になるロンドンのこと。


photo: Coco Wu
text: Yoshikatsu Yamato
2026年10月 954号初出

 心の叫びをいよいよ声に出してみる。「おすすめ用のおすすめじゃなくて、日々ガチで行ってるとこを知りたいんだー!」。ということで、生まれも育ちも東ロンドン、27歳でアートディレクターとして独立したてのマリアに案内してもらった。

今回の案内人

シティガールのロンドンの歩き方。

Maria Verikas

Art Directer

クリエイティブスタジオBuero Paris、〈PHOEBE PHILO〉を経て、現在、フリーランスでファッションやジュエリーブランドのアートディレクションを手掛ける。首元には〈OUVERTURE〉の鍵のネックレスと沖縄で出合った珊瑚と貝殻を。

 待ち合わせは彼女の自宅近く、ニューイントン・グリーンの青果店。

「旬の果物とか野菜って美しいよね。ピュアに楽しくなってきちゃって、いつも買い過ぎちゃう(笑)。近所の人が集まるところだし、移民の方々の文化が入り交じる東ロンドンの多様性、ローカルな空気をリアルに体感できると思う」

📍All Greens Newington Green

店先のひさしからはみ出す元気な陳列。旬の青果が放つまぶしいバイブス! 観光地にはない現地の人の暮らしに触れ、レアな食材との出合いも。「食材を買うことは大事な休日の過ごし方。これが私にとっての『食べて、祈って、恋をして』かも」とマリア。デリや鮮魚店、精肉店、ヒップなカフェやレストランが集まるエリアで散策も楽しい。「朝早くから営業が始まるところが多いから、ここからスタートしたら完璧!」

インフォメーション

シティガールのロンドンの歩き方。

All Greens Newington Green

Address: 109 Newington Green Rd., N1 4QY
Open: 7:00~21:00
Closed: 無休

Instagram
https://www.instagram.com/newington_greens/

📍Gallo Nero

40年以上前、ロンドンに移住したイタリア人ファミリーが経営をスタート。“イタリアもの”を集めた特別なコンセプトショップではなく、リアルなセレクトで地域に根付く。チーズやサラミ、オリーブやパスタ、自家製のペストやラグー。棚には調味料やスナックがぎっしり! 「仲の良い友達にはこういうとこでお土産を買うのがいいよね」とマリア。あえて個人経営のお店に寄れば散策中のドリンクもイベントに。

インフォメーション

シティガールのロンドンの歩き方。

Gallo Nero

Address: 45 Newington Green Rd., N1 4QT
Open: 9:00~17:00
Closed: 日

Instagram
https://www.instagram.com/gallonero1delicatessen/

縦横無尽に移動するなら、電動シェアバイク一択。

Limeヘビーユーザーのマリア。ウインカー代わりに手をサッと挙げて。

 書店巡りは小回りが利く電動バイク。地元の人たちの愛用率はかなーり高い。「完璧な休日を過ごすとしたら、少なくとも、3軒は書店に行かないと!」

ロンドンの出版文化を長く支えてきた先駆者的アートブック古書店でディグ。

📍Marcus Campbell Art Books

アートや写真、建築、デザインに関連する£1の掘り出し物から、£3,000の激レア本までの両極を展開。国立現代美術館テートモダンの西側エントランスのすぐそばにあるけど、開館前からこの場所にあったんだって。「私はいつもレジのすぐそばにある希少本のコーナーに夢中。まるでミュージアムや図書館のようなファインアートのラインナップにいつも感動を覚えるし、刺激をもらう。テートモダンの企画展で取り上げられている美術家の本や、美術史上で関連のあるアーティストの本が置かれたりと、ディスプレーの連動も面白いよ」

インフォメーション

シティガールのロンドンの歩き方。

Marcus Campbell Art Books

Address: 43 Holland St., SE1 9JR
Open: 12:00~16:00
Closed: 不定休

Instagram
https://www.instagram.com/marcuscampbellartbooks/

ニューワールドとの遭遇は、東ロンドンの個性派書店で。

📍Supporting Material

「天才的なキュレーション! 時を経た書籍や印刷物デザイン、写真のアプローチがアートディレクションのヒントになることもあって私にとって大切な場所」。本棚にはいつも「これは一体……?」と気になる本が並ぶ。アートブックとして出版された完成度の高い本だけではなく、家具店のカタログやファッション撮影のテスト写真をまとめたアルバムなど、「参考資料」という意味合いの店名のとおり、意外なジャンルの印刷物にファッションやインテリア観が刺激される。ヴィンテージの〈Twos〉がTシャツだけを集めたショップと空間をシェア。

インフォメーション

シティガールのロンドンの歩き方。

Supporting Material

Address: 258 Hackney Rd., E2 7SJ
Open: 11:00~18:00
Closed: 月~金

Instagram
https://www.instagram.com/supportingmaterial/

 道すがら、信号で止まるたびにマリアが話してくれたロンドンのポイントは〝multi-cultural(多文化)〟ってこと。「例えば、バービカンはクラシックの拠点でもあるけど、同時に、実験音楽などアップカミングなものを積極的に紹介してる。それにクリーニング屋さんなど生活のためのショップも隣接していて、生活と文化が切り離されていない。ロンドンでは、それぞれのスポットや文化がどんなものと隣り合っているか、どんな歴史があるかを意識すると、両極端のものがあることに気づくと思う。東と西。格式の高い部分とオフな部分。種類豊富な〝ツーサイド〟。片方だけじゃなく、その両方を行き来したらロンドンらしさを感じながら楽しめるんじゃないかな」

ローカルが誇る都市実験の場には、今もロンドンの文化がクロスオーバー中。

📍Barbican Centre

「街の中にある、もうひとつの街」と表現され、いつもピースフルな雰囲気のバービカンセンターには約2000戸の住宅、コンサートホール、図書館、植物園などが一体化。第2次世界大戦の空襲で壊滅したエリアを再構築したプロジェクト。「ロンドンの文化の横断性、生活と文化のつながりを象徴する場所。クラシックを聴いて『St. John』のバーに行くのが最高。夜は最近できた『Radial』っていうクラブがいい。クラシックかテクノ、私には中間がない(笑)」

インフォメーション

Barbican Centre

Address: Silk St., EC2Y 8DS
Open: 8:00~23:00、土・日9:00~、祝11:00~
Closed: 無休

Instagram
https://www.instagram.com/barbicancentre/

ロンドンの食を語るならインドカレーは必須です。

📍The Tamil Prince

「イギリスでは、帝国時代から続く移民の歴史とともに、世界各地の味が日常に馴染んでいると思う。“ロンドンの食文化”を体感したかったら、さまざまな土地にルーツを持つ料理を食べてみてほしい」。数あるレストランのなかでもここはマリアがランチでよく来るという南インド料理の人気店。ローカルな英国式のパブだった建物を生かし、パイントでビールが飲めて、カレーやロティ、スパイスを効かせたグリル料理をシェアして味わえる。

インフォメーション

The Tamil Prince

Address: 115 Hemingford Rd., N1 1BZ
Open: 12:00~15:00・17:00~22:00、土・日8:30~10:30・11:00~22:00
Closed: 無休

Instagram
https://www.instagram.com/the_tamil_prince/

伝統的でありながら先鋭、モダン英国料理のバーへ。

📍St. JOHN Smithfield

「鼻先から尻尾まで、すべてをいただく」というコンセプトで英国料理をアップデートした名店。「“un-design(デザインされていない)”と表現してみたいんだけど、内装やテーブルウェアにもシンプルなアプローチが徹底されている。何ひとつ飾り気がないのにすべてが美しい。ピークタイムを外して、予約制ではないバーに行くのが好き」。元工場のダイナミックな構造を生かしてリノベーション。白を基調とした広々空間で、ビールやワインが進む。シグニチャーのRoast Bone Marrow and Parsley Salad(£16.5)は牛の骨髄。

インフォメーション

シティガールのロンドンの歩き方。

St. JOHN Smithfield

Address: 26 St. John St., EC1M 4AY
Open: 12:00~15:00・18:00~22:30、日12:00~16:00
Closed: 無休

Instagram
https://www.instagram.com/st.john.restaurant/