ファッション

ファッションと街と人、それぞれの関わりを探求する著者に会いに行く。

ぼくたちが気になるロンドンのこと。

2026年9月28日

ぼくたちが気になるロンドンのこと。


photo: Kae Honma
text: Yoshikatsu Yamato
coordination: Rintaro Tezuka
2026年10月 945号初出

「誰もファッションを忘れることなんてできないし、忘れないと思う。それは産業や流行といった大きな現象ではなく個人的で毎日のこと。気にしなければいい! と放り投げるのではなく慎重になりたいです」

 イースト・ロンドンを拠点にするライターのチャーリー・ポーターさんが著書の『アーティストが服を着る理由』で書いたのは特別な人の奇抜な装いについてではない。アーティストの服装を生活実践として観察し、ファッションの意味を改めて考える視点を与えてくれた。

チャーリー・ポーターの著書

日本語訳も刊行された『アーティストが服を着る理由』(フィルムアート社、清水玲奈訳)の他、同名の展覧会も催された『Bring No Clothes』、2025年に初の小説『Nova Scotia House』を発表。今も次作を執筆中だそう。

 そんな彼から見たロンドンの〝ファッション〟の特徴とは? 僕たちがロンドンで自分たちなりの〝スタイル〟を見つけるヒントを得るとしたら?

「ロンドンでは一人のルックに混沌が存在することが許されていると思います。ごちゃごちゃしていい(笑)。一方で、特定の色、素材へのこだわりが強かったりもして。雑然としたカオスと極めて具体的な好みのバランスが面白いんです」

 では、そのスタイルはロンドンのどんな土壌から芽吹いたのか?

「移民を受け入れてきたことに関係があると思います。異なる考え方や伝統がぶつかり合う。かつてのイースト・ロンドンは移民の地域。ロンドンを代表するデザイナー、アレキサンダー・マックイーンの出生地だということもそのエリアの文化の豊かさを物語っています」

 そしてチャーリーさん自身は、どんな意識で服を身につけているのだろう。

「伝統的な紳士服は着ません。男性はタキシード、女性はドレスを着るといった状況には居心地の悪さを感じます。ロンドンの夏は暑いので、できる限り短いショーツをはく。他人に衝撃を与えるとかではなくて、人生をかけて自分にとっての居心地のよさを見つける挑戦です。結局、〝Do you know yourself?(自分自身について知っているか?)〟ということですね。ロンドンのスタイルについて今の僕が話せるのは、この有名人が、とか、ブランドについてではなくて、そういったファッションと生活の関係性や、どうストリートに存在するかという態度についてなんでしょうね」

プロフィール

Charlie Porter

Writer, Fashion Critic and Curator

ライター、ファッション批評家、キュレーター。「Financial Times」「The Guardian」などへの寄稿を経て単著を発表。母の死をきっかけに2022年から服作りをスタート。今日着ているトップスも自作のひとつ。

Instagram
https://www.instagram.com/thecharlieporter/