TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】カラビンカに跨りZO bagsを背負う、ビスポーク家具職人。

執筆:持田剛

2026年4月2日

当店の書棚は、ビスポーク家具職人・佐々木毅さんによる完全オーダーメイドです。

佐々木さんは、木製家具・木工品の設計から製作、販売、修理までを一貫して行う工房を運営しています。オリジナルとオーダーメイドの双方に対応し、素材選びから完成までをご自身で担いながら、使い手と対話し、距離の近いところで家具を制作しています。

日本の気候風土の中で培われてきた木製品の価値観をベースに、素材の美しさを活かしたシンプルで堅牢な家具で定評があります。意匠・機能・耐久性・構造・価格といった要素を個別に切り分けるのではなく、相互に関係するものとしてバランスよく成立させる姿勢も特徴です。

無垢の広葉樹を中心に使用し、ホゾや組継ぎなどの伝統的技法で制作しています。木材は産地や乾燥過程も含めて吟味し、可能な限り国内で適切に処理されたものを選択しています。

仕上げはオイルフィニッシュ。木の質感を残す一方で、定期的なメンテナンスを前提とした仕上げです。日本の手工具と木工技術を重視し、効率よりも長期的な品質と寿命を優先しています。

使用後の変化も前提とし、再塗装や修理・リフォームなど長期的なサポートもしています。使い込むほどに、時間とともに、無垢木材が持つ魅力が増していく家具です。

今回はかなりタイトなスケジュールの中、佐々木さんにご尽力いただきました。私の一世一代の本屋の書棚は「絶対、毅くんに」(普段の呼び方)と決めていたからです。

イメージの起点にあったのは、ニューデリーの写真家、ダヤニータ・シンの“移動式美術館の家具”。そのイメージを再現しながら、職人・佐々木さんの日本の木製品の深い意匠が重なり、美しい完璧な書棚として仕上げてくれました。

これから何十年も大事使わせていだきます。毅くん、本当にありがとう。

佐々木さんは元メッセンジャーで、日本におけるバイクカルチャーの第一世代の一人です。今もカラビンカに跨り、ZO bags を背負っています。自転車好きの私にとって、それだけで十分な信頼の理由にもなるわけです。

プロフィール

持田剛

もちだ・たけし|洋書アートブックの仕入れ、選書、国内外の作家の写真展、アートエキシビションの キュレーション、出版イベント、サイン会等のアレンジを広く行う。1998年よりタワーレコード渋谷店7Fにあった『TOWER BOOKS』のマネージメント、2008年より『代官山蔦屋書店』準備室の洋書仕入れ、2014年よりファッションブランド〈マークジェイコブス〉が手掛けるブックストア『BOOKMARC』のディレクションを行う。2026年3月、渋谷スペイン坂に『NONLECTURE books/arts』を開業。

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