TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#1】“空間”が行為を決めるのではなく、“行為”が空間の意味をつくる

執筆:持田剛

2026年3月19日

渋谷はスペイン坂下のビルの地下に本屋でもありギャラリーでもありイベントスペースでもある“場所”を作りました。

屋号は“NONLECTURE books/arts”。

〈Goldwin〉と〈PARCO〉が当店の趣旨に賛同してくれ、多大なる支援のもと実現したスペースです。両社には本当に感謝しかございません。

私は四半世紀にわたり、洋書アートブックの仕入れと展示、イベントを続けてきました。
昨年まで在籍していた〈マークジェイコブス〉の書店『BOOKMARC』では約200回、それ以前の渋谷『TOWER BOOKS』から『代官山蔦屋書店』時代を含めれば300回ほどのイベントになります。

イベントを続けてきた理由は単純です。ロングテールでは、Amazonや大型書店には太刀打ちできない。だからこそ、絞った本を深く届けるために、作家が動き、読者やファンとの場がその都度立ち上がるような、イベントや展示を続けてきました。

出版記念イベントや展示を通じて、多くの作家達と関わることができました。日本に限らず、世界各地の人たちに支えられて、長くこの仕事を続けてこられました。これからは、少しずつ返していく番だと思っています。

建築家・青木淳さんの著書『原っぱと遊園地』(2004)に、そのヒントがあります。“遊園地”的な空間は、用途や動線があらかじめ決められ、その中で体験が消費される。一方、“原っぱ”は用途が固定されず、人の行為によって意味が立ち上がる場所です。ドラえもんに出てくる土管のある原っぱのように。

青木さんが示唆した考え方「“空間”が行為を決めるのではなく、“行為”が空間の意味をつくる」その発想の転換が、その後の自分の仕事の底にずっと残っています。

この場所が、これまで関わってくれた作家や、お客さんたちにとって、それぞれの使い方が見つかる“原っぱ”のような場所になれば。

プロフィール

持田剛

もちだ・たけし|洋書アートブックの仕入れ、選書、国内外の作家の写真展、アートエキシビションの キュレーション、出版イベント、サイン会等のアレンジを広く行う。1998年よりタワーレコード渋谷店7Fにあった『TOWER BOOKS』のマネージメント、2008年より『代官山蔦屋書店』準備室の洋書仕入れ、2014年よりファッションブランド〈マークジェイコブス〉が手掛けるブックストア『BOOKMARC』のディレクションを行う。2026年3月、渋谷スペイン坂に『NONLECTURE books/arts』を開業。

Instagram
https://www.instagram.com/takeshi_mochida_/