TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#2】裂けるネルシャツ

執筆:渡辺真司(ISSUETHINGS)

2026年3月16日

こんにちは。
ISSUETHINGSの渡辺です。
今回も『着れない古着』をご紹介します。

ISSUETHINGSの2026AW展示会が終わってから約1ヶ月経ちました。
この時期は新たなシーズンに向けてアイデア出しをしている時期です。
なので、今まで買い集めた古着を改めて見直す機会が増えます。

僕は川崎市に一軒家を借りてそこをアトリエにしています。
借りた当初はとても広々していたのですが、気がつくと買い溜めた古着で1階の部屋が埋まってしまいました。
しかも前回お話ししたように、ほとんどは着てもかっこよくない謎の服ばかり。

これだけあれば、ここで紹介する変な服にもこまることはありません。
そして今回紹介する服は、アイデア出しのために久々に開けたダンボール箱の中から出て来た服です。

かなりフェードしたボロボロのネルシャツです。
昨今の古着ブームもあり、欲しいと言う人がいてもおかしくないように見えます。
しかしこのネルシャツもしっかり着れない古着なのです。

この通り、軽く引っ張っただけで裂けてしまいます。
このネルシャツはデザインでフェードしているのではなく、おそらく前の持ち主が着用しすぎてこの色までフェードしてしまったものだと思います。

僕はこのネルシャツを再現して作れないかと何度もチャレンジして来ました。
しかしいわゆる洋服のデザイン用に使われるブリーチ剤だとなんだか嘘っぽくなるだけなのです。
なんというか生地かに儚さがなく、ただ色が抜けただけ。
おそらくこのネルシャツの良さは糸が弱くなって柔らかくなって、独特の表情が出ているのがポイントなのです。

ちなみに、このネルシャツを再現することは出来なかったのですが、
再現を試みる過程でISSUETHINGSの人気品番のランダムフェードネルシャツも生まれています。

一応ISSUETHINGSの人気品番もできたので、良しとしようと思ってダンボールにしまって封印していたわけです。
でもいつかリベンジできたらと思っています。

ではまた次回。

プロフィール

渡辺真司

わたなべ・しんじ|1990年、東京生まれ。広告代理店、古着屋を経て、2020年にメンズウェアブランド〈ISSUETHINGS〉を設立。ブランド立ち上げのきっかけは、クリストファー・ネメスに憧れたため。

Instagram
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