TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#2】コーヒー農園へ

執筆:黄瀬麻以

2026年3月17日

ルワンダは2000年ごろから、国策としてコーヒー生産に力を入れ始めていた。「ウォッシングステーション」と呼ばれる、いわゆる農協(民営も国営もある)のようなものが国内に設置されるようになった。2000年以前にはたった2つだったその施設も今では300にものぼるので、その力の入れようがわかる。

各農家たちは豆を育て、収穫し、ウォッシングステーションに豆を売る。運ばれた豆は、選別から加工までの全工程がここでなされる。

坂尾くんがルワンダで豆の買い付けにとどまらず土壌環境の改善に手を出すまでになったのは、オーガニック認証を取るなど環境や人権への意識が高い「Dukunde Kawa」というウォッシングステーションとの出会いが大きかったという。

ルワンダは国策として力を入れている割に、他のコーヒー生産国に比べて土壌環境があまり良くないという事実がある。土壌を改善するための肥料が農家にとっては高価であり、容易に買うことができないという現状も。

坂尾くんは農園を巡る中で、自身が学んだパーマカルチャーの知識を農家と共有することで、生産者が各自でコンポストを使って肥料を作り出せないだろうか、と考え始めた。そんな彼の提案に乗ったのが、Dukunde Kawaだった。現地のNPO法人で土壌環境に取り組んでいる日本人の古賀さんという方との出会いも重なり、実験が始まることとなる。

材料はすべて現地で調達できるもの、落ち葉・米の籾殻・米ぬか・水を準備し、ONIBUSスタッフが農家に出向きコンポスト作りのデモンストレーションをして、各農家さんに実践してもらう。その後、Dukunde Kawaが収穫した豆の品質を測定し、従来の農法で生産された豆のデータと比較して、効果を検証する。

時間とお金もかかる作業であり、さまざまな協力者の元でしか成り立たない。費用はDukunde KawaとONIBUSが持ち、それぞれの村長さんに協力を仰ぎ、Dukunde Kawaの担当スタッフとともに農家さんに実践してもらう。私が同行した2025年は、実践を開始して3年目。一通りの作業はそれぞれの農家で教えた通りにできていたそう。人々の理解とコミュニケーションも十分に取られていたが、まだまだ改善すべき点も同時に見つかったようだ。

正直、時間とコストそして何より労力がかかる作業なのに、どうしてそこまでやるの?というのが、同行した私の素直な感想だった。でもONIBUSのスタッフたちは、今よりもさらに仲間が増えることで、より大きな環境へのアプローチができ、そしてそれは消費者、生産者にとっても良い循環となる、という思いで続けている。

決してONIBUSのコーヒーは安くない。
でも自分が美味しくいただく一杯で誰かの豊かな生活へと繋がっていると思うととても心地がいい。私がここでよくコーヒーを飲む理由の一つ。もちろん味もとても好み。

来週は、新規開拓で訪れた新しい農園の話。
それではまた。

プロフィール

黄瀬麻以

きせ・まい|1984年京都府生まれ。フリーランスカメラマンとして東京を拠点に、雑誌、広告などで活動中。

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