ライフスタイル
部屋中に小さなライブラリーを。
お部屋のマイナーリーガーズ Vol.2:ブックエンド
photo: Kanta torihata
text: Fuya Uto
edit: Kosuke Ide
なくても(ぜんぜん)困らないけれど、あったら毎日の生活が(かなり)楽しくなる。騒がず目立たず、忘れられてる、マイナーだけどイカすヤツら。そんなお部屋の「名脇役」たちについて改めて目を向け、レコメンドする連載企画。マイナーリーガーズの歌を聴け。
2025年6月14日

本を買う理由はたくさんあるけれど、ライターという職業柄、自分の場合は「ページのレイアウトの参考に」「自宅での打ち合わせ時にケーキでも振る舞えたら」「撮影小道具のリサーチで」などなど、大抵は「いつか」のために買って、その時が来るまで放置していることが多い。実際、そんな調子だから、いざ探すと目的の本が毎度どこに保管しているのかすぐに見つけられない。本棚に見当たらなければ、部屋の床や棚に積まれた順から漁って、ああコレも読んでなかったなとか思ったりしながらアチコチを寄り道……それはそれで楽しいのだけど(特に深夜だと妙に)、やっぱりズボラというべき他ない。
考えてみれば、ブックエンドがいくつかあると解決できるかもしれない。何十冊も入ることが前提の本棚と違って、それぞれに5〜6冊を選書して入れなければならない“制約”こそ鍵だ。一括りに本と言えど、文庫本や写真集、zineなどジャンルや厚みもさまざま。もっと言えば、「背表紙か面か」レイアウトに関しても持ち主によって個性があるけど、ブックエンドごとに分ければ、そんな多層のレイヤーを持つ本を適材適所で配置できるではないか? 例えばまず落下することがない&油が飛んでも拭けるステンレス製の「ブックワーム」はキッチン周りに置きたい料理本をまとめたり、本棚の中の「箱」として作られた山野アンダーソン陽子さんのガラスの一点ものは、つい本と本の間に埋もれがちな小さいzineや手紙を挿んだり。

イングランド製のヴィンテージのブックワーム/おそらく’80年代ごろに作られたと思われるイングランド製の「ブックワーム」。本の幅に合わせて、丸い円柱に畳み込まれたステンレスが土台として伸び縮みする仕組みだから、本は寸分の隙間なくピタッと挟み込まれる。落下の心配なし。¥2,400(POPEYE Webアーカイブ)

山野アンダーソン陽子さんの「時間」/ストックホルムを拠点とするガラス作家・山野アンダーソン陽子さんによる「時間」は、「本と本の間に手紙や写真を挿む」という自身の癖を着想源に、本棚の中に入れるガラスの箱として作られたアートピース。ひとつひとつ厚みや表情が異なる美しい佇まいが魅力的。¥33,000(ユトレヒト☎︎03・6427・4041)
それに、リサーチしてみてわかったのだけど、バラエティに富んだデザインが実に多い。造形作家の鎌田豊成さんの「プッシュマン」なんてユーモラスで可愛すぎる! 木製の割に意外と軽くて本の安定さには欠けるのだけど、むしろ両端からぎゅっと本を押す健気な佇まいに磨きをかけていてそそられる。〈ISHIZO〉のプロダクトは大理石でしっかり重さがある分、冊数も飾り方も自由自在。並べ方次第でガラリと印象が変わって面白い。もちろん、そんな変化球系に限らず、シンプルなL字型の〈ELLEPI〉も潔くて好みだけど。

〈ISHIZO〉のアーチ型ブックエンド/1951年に岐阜県で創業した石材会社発のプロダクトブランド〈ISHIZO〉の逸品は、「リムラファイン」と呼ばれるトルコ産の大理石が素材。ずっしりと重く、特有のほんのりとした白色が有機的なニュアンスを醸し出している。飾り方で遊べるところもいい。¥14,630(HOEK☎︎03・6805・0146)

鎌田豊成さんの「プッシュマン」/鎌倉市佐助で自身の作品を販売する『HAND &SOUL』を営む、造形作家の鎌田豊成さんが手掛ける「プッシュマン」。遊び心あるキュートなフォルムはもちろん、ざらりとした温かみのある木の手触りは、より一層ハンドメイドであることを感じさせてくれる。作家ものにもかかわらずリーズナブルなのも嬉しい。ちなみに鎌田さんご本人のことは『サブシークエンスマガジン Vol.3』に詳しく掲載されているのでぜひ読んでみて! ¥5,500(HAND &SOUL☎︎0467・23・0530)

イタリア生まれの〈ELLEPI〉/ミラノ郊外のケルノ・モンゼーゼにある小さな老舗の鉄工場〈ELLEPI〉で作られるクラシックなL字型のブックエンドは、特殊なパウダーでコーティングされた頑丈なスチール製。カラーリングも豊富で、赤、青、黄、グレイ、深緑など合計8色展開。¥3,080(NICK WHITE☎︎03・3407・3110)
使い勝手よし、見た目よし。自分なりの超小さなライブラリーを部屋中に作れたら、冒頭の悩みは解決するはず! こんなにも懐の広いアイテムは何個あったっていい。もっと早く気づけばよかったな。
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