ライフスタイル

家の猫の話 Vol.14/文・ピエール瀧

2025年4月5日

家の猫の話


photo & text: Pierre Taki
edit: Ryoma Uchida

猫なんつーもんは、本当によく寝る生き物で、マジで日中の8割は寝て暮らしています。

猫を扱ったテレビ番組なんかで猫が部屋をウロウロしたり、キャットタワーなんかにシュタッ!とジャンプして登ったりしている姿を当たり前のように感じてらっしゃるノン猫の皆さんにしてみたら、実際のリアル猫はほとんどやる気のない怠け動物のように思えるかもしれません。マジな話、ほとんどの時間じっとしているか寝ているのが彼らの生活のメインスタイルなのですから。

とは言いつつも、彼らの寝姿には意外と豊富なバリエーションが存在し、人間を楽しませてくれることも多々あります。猫たちが様々な寝姿を日々披露してくれることで、飼い主サイドはちょいちょいラブリーな平和感&安息感を享受することができます。スマホカメラと含み笑いと共に。

ね〜こはコタツで丸くなる〜🎵でお馴染みの通り、猫の寝姿の基本形は“丸くなる”です。器用に頭を後ろ足の方に寄せて、文字通り丸くなって気持ち良さそうに眠ります。稀に頭や尻尾がどこにあるのかわからないくらいの見事な丸物体に仕上がっている場合があり、それに遭遇した自分なんかは「熊楠的なヤツ⁈ 粘菌?」とリビングのソファで唸らされることもあります。

ウチの場合だと、コンブとブイヨンがシンクロ寝をしていることが多いです。このシンクロ寝というのは、2匹で寄り添いながら同じポーズで眠るという微笑ましい寝技(?)なのですが、これには、2匹が向かい合って同じポーズをするミラータイプと、同じ方向を向いて同姿勢で並ぶコピータイプがあります。コピータイプで寝ている時などは「ははは、同じ格好!面白っ!」となりますし、ミラータイプで寝てる場合なんかだと「君たち、それは愛って言うんだよ」と教えたくなるような愛情の深さを自然と醸し出していたりします。もしかしたらただ寒いだけなのかもしれませんが。

しかし、このシンクロ寝にコロッケが参加しているところはこれまで見たことがない不思議。さらに他の組み合わせ(コンブとコロッケ、ブイヨンとコロッケ)では発動しない寝姿なので、オス&メスとか、兄弟などの猫同士の特別な絆と信頼が無いとこういう形にはならないのかもしれません。

まあリビングなんかで、完全に警戒心を解いてぐっすり眠っている姿なんかを見せてくれると、“人間を信頼して全てを預けてくれている”という嬉しさで気持ちがほっこりするのですが、同時に、“猫がいつも寝ているのは狩りのためのエネルギーを蓄えるため”という本来の目的が蔑ろにされている現実にも直面します。

野生だった頃は生きるために眠っていたはずなのに、今はなんか眠るために生きている感じ。もしかしたら猫に聞いたらそう答えが返ってくるのかもしれません。猫の本分の“狩って食べる”を免除した(もしくは奪った)のですから、猫にしてみたらあとはもう眠るしかやることがないのかもしれません。

プロフィール

ピエール瀧

ぴえーる・たき | 1967年、静岡県出身。1989年に石野卓球らと電気グルーヴを結成。道行く人に「あなたのオススメは?」と尋ね、その返答の通りに旅をするYouTube番組『YOUR RECOMMENDATIONS』が好評配信中。著書に『ピエール瀧の23区23時』(産業編集センター)、『屁で空中ウクライナ』(太田出版)など。『地面師たち』(大根仁・監/Netflix)、『HEART ATTACK』(FODで配信予定)にも出演予定。

電気グルーヴ公式ウェブサイト
https://www.denkigroove.com/