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きみも福祉の仕事をしてみない?/介護福祉士・永田麻耶さん

2025年3月24日

「福祉」と聞いて、どんなことを思い浮かべる? 児童福祉、障害者福祉、高齢者福祉などなど分野は色々だけれど、対象となるのは僕や私を含むすべての人たち。”特定の誰か”ではなく、どんな人にも開かれているのが福祉だ。では、実際に現場で働く人たちはどんな仕事をしているんだろう。世田谷区内の福祉施設で働く、みんなを覗いてきたよ。

高齢者の生活に寄り添う。(介護福祉士・永田麻耶)

丸テーブルやソファがある落ち着いたリビング。くつろぎながら、ゆったりとした時間を過ごす。

どの瞬間も幸せでいてほしいから、
諦めずに関わり続ける。

「利用者さんが笑顔だったり、ご飯をいっぱい食べてくれたりすると、やってきたケアが間違いじゃなかったなと実感します。私たちの判断がそのまま利用者さんの状態に直結するので、元気であることが証明になるんです。反対に、判断を間違えると状態が悪くなってしまうことも。私たちが入居者さんの生活を支えているという意識を持って仕事をしています」

 そう話す永田麻耶さんは、馬事公苑の近くにある「弦巻の家」で、ユニットリーダーとして介護にあたっている。ここは2023年に開所した新しい特別養護老人ホーム。入所者の多くが80代で、ユニットごとに綺麗なリビングと個室があり、窓の外に広がる緑を見ながらゆっくりと各々の時間を過ごすことができる。永田さんが介護の仕事をしようと思ったのは、小学校時代に祖父が要介護になったことがきっかけだったという。

「父が単身赴任で家にいなかったので、祖母と母と私の3人で介護することになったんですが、介護うつじゃないですけど、落ち込む祖母と母をそばで見ていたんです。私は小さくて何もできなかったのが悔しくて、将来は高齢者の介護をしようと」

いつも笑顔のご入居者と。個室からリビングへご案内する際も、談笑しながら体調を気遣う。

 そして、介護福祉士の資格がとれる福祉科のある大学に進学。大学では児童福祉など他の分野も体験してみたが、むしろ、より高齢者福祉に携わりたい気持ちが強くなったんだそう。

「高齢者分野はケアの自由度が高い気がしたんです。外に連れていってあげたり、レクリエーションを考えたり、職員の裁量でいろんなことをしてあげられる。それに、実習中に綺麗に洋服を着させてあげたら利用者さんがにっこり笑って喜んでくださったことがあって。そういうことも経験して、やっぱり高齢者の福祉の道に進もうと思いました」

 卒業後は特別養護老人ホームなどの介護サービスを展開する社会福祉法人奉優会に就職。1年目は駒沢オリンピック公園の近くにある従来型特養の「等々力の家」に配属された。

「従来型の特徴で大きいのは、居室が個室ではなく、4人でひと部屋になっている点です。大勢の入所者さんを職員数名で見なければいけないので、毎日が時間との勝負。最初のうちはついていくのに必死でした」

 2023年に主任になり、同時に新たに誕生した弦巻の家への異動が決まった。ユニット型特養のため、ぴかぴかの建物には個室とキッチン付きの共用リビングを備えた、シェアハウスのような空間が広がっていた。

「従来型は大勢の方を受け入れるというメリットがあるぶん、おやつの時間が決まっていたり、食事も予め盛り付けられてカートで運ばれてきたりと、ある程度サービスが画一的になりがちなのですが、ユニットではその人が元々暮らしていた生活習慣を大事にすることを意識しています。キッチンがあるので、お味噌汁を作ることもあるし、お米の炊けた匂いを感じてもらうことができる。使い慣れた食器や湯飲みを持ち込んでもらって、暮らしていた家に近い環境でケアをしています」

永田さんはユニットリーダーとして一人ひとりのケアを管理する立場でもある。合間を見て利用者の情報を入力し、職員に共有する。

 1ユニットに12人の利用者がいて、職員はシフト制でケアにあたる。永田さんは異動とともに主任になり、さらにユニットリーダーになったことで、入居者一人ひとりのケアを決定し、さらに環境の整備や新人教育にも打ち込んだ。

「新たに雇用した職員の多くは介護経験が浅いこともあって、自分なりに教育を頑張りました。本当に、みんなで知恵を出し合って、助け合って作り上げてきた場所なんです。まだ途中なんですけど、弦巻の家にはそういう良さがありますね」

 静かな日常は、介護職員たちの気配りとコミュニケーションの積み重ねで、確かなものになっていく。そんな日々のなかで、永田さんが大切にしているのはコミュニケーションだ。

「入所したときに『お前のことなんか誰も信じない!』『こんなところに連れてきてどうしたいんだ!』と言っていた利用者さんがいたんです。最初はずっとそんな感じだったんですが、そういう態度になるのは、知らない環境への不安とか、特養に行くことが受け入れられないとか、様々な思いがあるから。だから説明をして、私はあなたの味方なんだよ、と繰り返し伝えました。そのうち関係性ができてきて、あるとき、その人が私の手を握って『行かないで』と仰ったんです。『あなたがいると安心するんだよ』と言われたときには、すごくやりがいを感じました。答えはないんですけど、関わり続けるしかないんです」

「もうすぐご飯ですよ」とお昼寝中の方に優しく声がけ。御年なんと99歳(!)で、壁にはご長寿を祝って施設からの表彰状が飾られていた。

 小さな頃からの夢だった高齢者介護の職に就いた永田さんだが、現場を知った今、気持ちの変化はあったのだろうか。

「私が介護している毎日が幸せであってほしい。その瞬間その瞬間、痛いとか痒いとか気持ち悪いという感覚がなく、幸せであったらいいなって。これまで実習も含めて様々な現場を経験して、チューブで栄養を摂らなければいけなくて寝たままの方や、自分では動けずに天井を見てじっとしている方を見たことがあって。施設によっては多くの利用者さんを受け入れなければいけないので致し方ない部分も多いのですが、なるべく自分のユニットの入居者さんには、その人にとって穏やかで気持ちのいい時間を増やしてあげたい。そのために何ができるかを考えるようにしています」

プロフィール

きみも福祉の仕事をしてみない?/介護福祉士・永田麻耶さん

永田麻耶

ながた・まや|1999年、静岡県生まれ。大学で介護福祉を学び、資格を取得。卒業後、2021年に社会福祉法人奉優会に就職し、特別養護老人ホーム「等々力の家」に配属。2023年、「弦巻の家」に異動。休日は愛犬と遠出することも。

インフォメーション

きみも福祉の仕事をしてみない?/介護福祉士・永田麻耶さん

特別養護老人ホーム「弦巻の家」

2023年開所。“つながる弦巻の家”を掲げ、入居者が自分らしく暮らせる個別ケアを推進。眠りScanや見守りカメラなどICT・IoT機器でデータに基づいたサービスを行い、職員も働きやすい環境作りを心がける。プロジェクションマッピングリハビリも推奨。