ライフスタイル

古いものと長〜く付き合うために。- 家具・雑貨編 –

2024年9月2日

セカンドハンドでディグしない?


illustration: Naomi
text: Nozomi Hasegawa
2024年9月 929号初出

 セカンドハンドで手に入れたものには、新品にはない魅力がある一方で壊れやすい一面も。ずっと大切に長〜く使うための技を、『FUNagain』店主、高島大輔さんと『Let ’Em In』のメンテナンススタッフ、WANさんに教えてもらったよ。

Q1. まずは素材別に、家具・雑貨のお手入れのキホンが知りたい!

– 木製品のキホン –

WAN 汚れが気になる場合、その大半は埃と手の脂によるもの。家庭用の中性洗剤を5倍以上の水で薄めたものをスプレーボトルで吹きかけて、すぐに固く絞った濡れ雑巾で拭くと落ちます。とはいえシミになってしまう可能性があるので、最初は目立たない場所から試してみてください。テーブルや机に関しては、普段の生活でシミをつけないっていうのも大事だと思います。食事の際にはコースターやランチョンマットを使ったり、いい状態を保ちたいのであればビニールカバーを敷いてみたり。それすら「もういいや」とやらずに味を出していくのもアリだとは思います!

高島 傷がついたときのために、さまざまな木の色に対応している「傷隠しペン」を持っていると便利です。白く塗装された家具の場合は「激落ちくん」などのメラミンスポンジで擦った後に白の油性ペンで塗ると綺麗になりますが、塗装が剥がれてしまう可能性もあるので乱用はしないほうがいいですね。また、よくある劣化症状のひとつに「木の水分がなくなってひび割れしてしまう」というのもあります。無垢の家具に関しては固く絞った雑巾で拭くと、水分補給になって結果的に長持ちに繋がると思いますよ。

– ガラス製品のキホン –

WAN ガラスクリーナーなるものも販売されていますが、クリーナーの成分が残ってしまい埃を吸着しやすくしてしまい、結果的に汚れが気になってしまう可能性も。使用しても問題はありませんが、ガラスであれば水拭き・乾拭きの繰り返しで汚れを落とすことができると思いますよ。

高島 水垢が付いているものに関してはクエン酸を使用します。ガラス面にクエン酸スプレーをかけてキッチンペーパーを当てて押さえて、30分〜1時間ほど置くと綺麗になります。クエン酸がガラスに悪影響を及ぼすことはないので、汚れの状態によって、置く時間は調節してみてください。

– スチール製品のキホン –

WAN スチール製品は塗装されているものがほとんど。塗料を落とすと劣化に繋がるので乾拭きのお手入れを基本にするのがいいと思います。サビはクレンザーや激落ちくんなど、研磨剤入りのものを使えば意外と簡単に落とせます。ただし、家具によってはこすった跡が残る場合もあるので、少しずつやることを意識してみてください。

高島 ホームセンターにある「ピカール」という金属磨き液がおすすめ。がっつりサビを落とせるというわけではありませんが、ピカピカと綺麗な仕上がりになります。

Q2. 毎日座るソファは、気軽に買い替えられないから長く使いたい!

WAN 洗濯表示が付いている場合はそれに従って! 表示がない場合、カバーが取り外せるものに関しては、おしゃれ着用洗剤を使用してお風呂で手洗いをした後に陰干しがベター。乾燥機にかけると縮んでしまう可能性があるので、やめておいたほうがいいですね。革製品の場合は、革用の仕上げも兼ねたクリーナーを使うと、ツヤッと仕上がります。地肌が触れるとどうしても汚れていってしまうので、カバーやブランケットをかけて使用するのも一つの手ではあります。

高島 掃除機を数日かけないだけで部屋に埃が溜まるのと同じく、ソファの隙間にも埃はたくさん溜まってしまうんです。なのでこまめに掃除することが結構重要だと思います。ガムテープでペタペタしたり、掃除機を細いノズルに替えて吸い上げるだけでも綺麗に保てますよ。

Q3. ラグを洗うタイミングがわからず早3年……。どうにか綺麗にしたい。

高島 家具と同じくラグも素材によってお手入れの方法が変わってきます。ペルシャ絨毯などの目の詰まったラグに関しては、布団たたきで埃を叩いてから日光が当たる場所で干す、というのが一番オーソドックスな方法です。日光には殺菌作用があるので、それだけで清潔な状態を保てます。ただし、キリムなどは別です。ウール系の素材で作られたものに関しては縮んでしまう可能性があるので、おしゃれ着用洗剤を使用してお風呂で手洗いをした後、陰干しにしてください。ラグの状態や色彩によって、白地に赤が付いてしまうといった色移りが起こることも。絶対に色移りさせたくない場合は、自宅でのお手入れはやめておいたほうがいいかもしれませんね。毛脚の長いラグに関しては掃除機をかけるとモーターに毛が絡んで傷んでしまうこともあるので、洋服用ブラシで間に詰まった汚れをかき出すイメージでブラッシング→叩いて落とす、という方法が最適だと思います。本格的に洗いたいのであれば、クリーニング業者に出すのが一番ですよ!

Q4. 念願のフィギュアをゲット! でも細かい汚れが気になるなあ。

WAN おもちゃや雑貨も木製家具同様、5倍以上の水で薄めた中性洗剤を吹きかけると落ちることがあります。古い家具や雑貨に関してはどうしても「汚れは落ちるけど、ダメージを与えてしまいそう」という状況に陥ることがよくあって。〝汚れを落とすこと〟と〝そのままの風合いを残すこと〟を天秤にかけて、どちらを取りたいのかご自身で選びながらメンテナンスをすることが重要ですね。

Q5. ぬいぐるみって、洗えるの?

WAN 友人のぬいぐるみ作家、片岡メリヤスさんに教えていただいた方法を伝授します。まずは、洗濯洗剤を入れたぬるま湯にぬいぐるみを10分くらい浸けてやさしく洗います。その後、水が透明になるまで綺麗な水ですすいでペット用のくしで毛並みを整え、タオルで何重かぐるぐる巻きにして脱水機にかけてください。時間は1分ほどでOK。脱水できたら再度ペット用のくしで毛並みを整え、表面だけドライヤーを当てて、ペット用のくしでさらに毛並みを整えてよく乾かす。こうすると、へたったぬいぐるみがふわふわに復活するみたいです。汚れがひどいときには、ぬるま湯の段階で「ブルーキー」という青色の固形石鹸を使うとよいそうです。

Q6. 口に触れる食器を買った後に特別なお手入れは必要?

WAN 「どうしても気になる!」という場合は食器用の漂白剤を使うことで黒ずみや茶シブなどの汚れを落とすことができます。その代わり、マグカップなどはプリントの色が抜けるリスクもあるので、モノによっては使わないほうがいいかもしれません。基本的には食器用洗剤で洗うだけで問題ないと思いますよ!

Q7. 蚤の市で長く使えるものを選ぶコツは?

高島 陶器やガラス製のものは割れにくく洗えばすぐ使えるので、管理方法が不明な個人出店の店で買うものとしては向いていると思います。セレクトされているヴィンテージ雑貨の店とほぼ同じ感覚で選んでOK。逆に電化製品は体感8割、壊れていたりすぐ使えない状態で売られているので、使えるものを探すならNG。飾るだけなら良いと思うけど(笑)。価格が安い分、個人管理のものが多いので「自分で見つけて、磨いてあげる」を念頭におくと選びやすくなると思います。不安があれば出店者に聞いてみると、知識を持った方でいろいろ情報を教えてくれることもありますよ。逆に、いつのものか、どこで買ったのかなど、聞いても曖昧な返答しかないお店では買わないのが無難かもしれません。

教えてくれた人

高島大輔

千駄木のリサイクルショップ『FUNagain』店主。ホテルや個人邸のスタイリング業も行う。店舗の開店は土日のみ。新入荷はInstagramにてお知らせ。

Instagram
https://www.instagram.com/funagain_sendagi/


WAN

販売と買い取りを行う国立の古道具店『Let ’Em In』のメンテナンススタッフ。木工作家でもあり、犬モチーフの作品を多数制作。

Instagram
https://www.instagram.com/wanwanwonderland/