フード

学芸大学『表面張力』のフィッシュカレーは、インドゴア地方にあるローカルの名店直伝レシピ。

5月はこんなお店に行ってきた。

2024年5月30日

photo: Naoto Date
text: Eri Machida

ニューオープンやリニューアルしたお店、新メニューが出た老舗や最近やたらと友達が行っている店など、なにかと気になる飲食店を毎月紹介する連載。

旬の魚のカレー¥1,760 5月頃はマダイ。季節の副菜(たけのこのパコラ、3種類のじゃがいものサブジ、エリンギのチャトニ)とバスマティライス付き。ライスの上にはにんにくの芽のアチャールが。

 1人で切り盛りする飲食店は、店主の人生や人柄がそのままお皿に詰め込まれているようでワクワクする。

 4月末にできた学芸大学『表面張力』はインド・ゴア地方のカレーが味わえるカウンター8席の小さなお店で、10年前から間借りやイベント、キッチンカーでの出店など様々なスタイルでカレーの提供を始め、着実にファンを増やしてきた店主の加藤伊織さんがオープンした待望の実店舗。

 インドの中でも、キリスト教徒が多く、食事の制限が少ないゴアの自由な雰囲気に惹かれ、昨夏、行列ができる人気店から直接習ったというゴア料理が食べられる。ポーク、フィッシュ、チキンの3種類ある中でも、一押しは旬の魚を使ったカレーで、提供直前に輪切りレモン、タマリンド、香草を入れて火入れしており、魚の旨みに酸味が加わったフレッシュな味だ。他のカレーも同様の仕上げ方で、ポークはチリパウダーとガラムマサラ、チキンはビネガーと香草と青唐辛子を最後に火にかける。煮込んでいる際に具材が細かくならないよう、具材はすべて大きめにカットしており、魚は切り身がそのまま入っていた。

 もうひとつ特徴的なのは、日によって甘味や辛味のバランスが変わること。柔道整復師の資格も持つ加藤さんが、気温によって身体が欲するものは違うという視点から天気や温度にあわせて味付けを調整しているので滋味深く、食後は内側が整った気がした。季節ごとはもちろん、日ごとの変化も楽しみたいお店だ。

柔道整復師としても活動する加藤さんは、カレーでも五感を回復させたいと考える。学生時代にスパイスから作るカレーでキッチンの香りが変化していく面白さに目覚め、自分でも作るように。

右がゴアの唐辛子で、見慣れたものと大きさも形も異なる。辛さはほとんど変わらないが、ゴア産は酸味のある香りがする。

インテリアや外で育てている植物を見ていると、加藤さんが好きなように楽しんでいるのが伝わってくる気持ちのいい空間。カウンター正面の大きな窓から風が、後ろから音楽が流れる。

精霊が宿ると言われている「ペヨーテ」というサボテンがお店のシンボル。

インフォメーション

学芸大学『表面張力』のフィッシュカレーは、インドゴア地方にあるローカルの名店直伝レシピ。

表面張力

2024年4月20日開店。同時にチャイのキッチンカーもスタート。出店する際は告知があるので見逃さないようチェック!

○東京都目黒区鷹番1-3-4 11:30〜14:30、18:00〜21:00 月、隔週火休

Instagram
https://www.instagram.com/_hyomen_choryoku/