フード

Vol.10 冷蔵庫の残りものでつくる、自分のためのお弁当。

どのみち毎日食べるから。

2024年3月27日

artwork: Ryuto Miyake
photo: Kazuharu Igarashi
cooperation: Yu Kokubu

 生きているかぎりどのみち毎日触れ合う料理。自らの手でおいしく作れる知恵があれば、これからの人生、楽しくなるはず。このポッドキャストは料理家の土井光さんに、自分や家族が毎日食べて「あぁ、オイシイ」としみじみ感じる料理を教えてもらう番組。特別なテクニックも食材も不要。10分前後の音声を聴けば誰でも作れるメニューばかりだから、近所のスーパーに向かう道中にでも聴いてほしい。第十回は冷蔵庫の残りものでつくる自分が食べるためのお弁当。

「まずはご飯と一品だけのおかずのお弁当から」(土井光)

MEMO

合い挽き肉と冷蔵庫に残っている野菜の切れ端。今回はピーマン、たまねぎ、ニンジン。味付けはカレー粉、醤油、しょうが、砂糖、塩、お酒で。自宅に常備されているレベルのもので作る。

ご飯をお弁当に詰めておく。ポイントはご飯とおかずの温度を合わせること。冷やご飯に熱いおかずをのせると、ご飯が痛んでしまうので、炊き立てのお米と作りたてのおかずを入れるのが理想。

ピーマン、にんじん、玉ねぎを細かく刻む。同じ分量で同じようなサイズ感にする。ピーマンのヘタと種は取らなくてOK。

生姜をする。

油を少し入れてひき肉と生姜を炒める。少し焼き目がつくと美味しいので、ちょっと強火にして焦げないような見守ってあげる。ひき肉の脂が多ければ油はなくてもよい。

肉から脂が出てきたら刻んだ野菜を入れる。

野菜と肉の脂が馴染んできたら大さじ1の日本酒をいれる。

カレー粉を大さじ1加える。

カレー粉が全体に混ざってきたら水をちょっといれて弱火にして待つ。

塩をちょっとだけ足す。

砂糖と醤油を大さじ1くらい加える。お弁当は冷めたタイミングで食べるので少し濃いめの味付けに。

水分がなくなり、ポテっとしてきたら完成。

横のお鍋で茹で卵を作っておき、最後にのせるとちょっと華やかに。

完成!

コップの味噌汁は、味噌と鰹節をいれてお湯を注いだだけの即席味噌汁。十分おいしくてびっくり。

今回はおまけで、もうひとつ。冷蔵庫の残り物で作ることは変わりないけど、パパッとおかずを3品作ってみる。

小鍋に1/2カップの水をいれて、スプーンを2本使い、鶏を団子状にして落としていく。この時点で鶏肉に味付けはなし。水気をとばしていく。

水気がなくなってきたら大さじ1くらいの醤油と砂糖を加えて煮詰める。

水分がなくなり、鶏団子に味が染みてきたら完成。

鶏肉団子を火にかけている間にピーマンの炒め物をつくる。ザクっと切る。ヘタと種はそのままで。

炒めて塩胡椒で味をつける。水を少し加えると蒸されて早く火が通る。

炒り卵をつくる。塩を少しと砂糖を大さじ2いれて、混ぜる。

テフロン加工のフライパンに油をいれ、温まってきたら超弱火にして、溶いた卵を投入。

ひたすら混ぜる。箸を4本にすると、より炒り卵感がでる。

盛り付けて完成。胡麻やグリーンピースなどが冷蔵庫にあれば入れてみよう。

完成!

POPEYE

POPEYE

今回は”自分のための”という言葉が一番のポイントだった。人のために作ると考えると、卵焼き、唐揚げ、ちょっとした煮物をいれて……と色々と準備してしまいそうだけど、自分を満足させるためならば、ご飯に好きなおかず一品あれば十分。究極、ソーセージを焼いてご飯にのせるだけでもお弁当なのだ。とにかくハードルをさげてみて、まずはお弁当を作るという選択肢を持ってみよう。ランチタイムにお店で食べる以外のチョイスがあると、待ち時間も省けるし、無駄に味が濃いものを食べすぎて午後ほとんど眠いという悩みからも解放される。

プロフィール

土井光

どい・ひかる|1991年、大阪生まれ東京育ち。東京の女子大学卒業後、フランスリヨンにある『L’institut Paul Bocuse』にてフランス料理とレストランマネージメントを2年半学ぶ。フランス三つ星レストラン『Michel GuérardとTroisgros』、リヨンにある老舗チョコレート店『Bernachon』に勤める。在仏7年。帰国後、父である料理研究家土井善晴の事務所、おいしいもの研究所でアシスタントとして勤務。料理デモストレーションのフランス語通訳やフランスと日本文化を繋ぐイベント参加なども行う。趣味はマラソン。

Instagram
https://www.instagram.com/hikaruuud/