フード

どのみち毎日食べるから。

Vol.1 とん汁

2023年6月21日

artwork: Ryuto Miyake
photo: Kazuharu Igarashi
cooperation: Yu Kokubu

 生きているかぎりどのみち毎日触れ合う料理。自らの手でおいしく作れる知恵があれば、これからの人生、楽しくなるはず。このポッドキャストは料理家の土井光さんに、自分や家族が毎日食べて「あぁ、オイシイ」としみじみ感じる料理を教えてもらう番組。特別なテクニックも食材も不要。10分前後の音声を聴けば誰でも作れるメニューばかりだから、近所のスーパーに向かう道中にでも聴いてほしい。第一回はとん汁から!

「豚バラは最初に炒めず、しゃぶしゃぶのようにさっと火を通す感覚で出来上がる直前に入れると、肉本来の味を感じやすく美味しい!」(土井光)

MEMO

材料は季節の野菜と豚バラ。今回は即席すいとんを作るために小麦粉とごま油を用意。

お椀を軽量カップがわりに。お椀の7分目くらいまで水をいれて鍋に火をかける。出汁はなくてもOKだが、煮干しと昆布があればこのタイミングで入れておく。昆布は小さくカットして具材として食べよう。

お椀に入りきる目安で食材をいれる。それが一人前の分量だ。まな板がない場合は野菜を手に持ち、一口サイズに切ってお椀に直接入れていく。ペティナイフがあると便利。

味噌の量は何度か作っていくと適量がわかってくる。薄ければ後から足せばよし。

小麦粉に水とごま油を垂らして即席すいとんをつくる。混ざり切っていないのでは? くらいの状態で鍋にポトン、ポトンと落としていく。

ねぎを入れる。

まな板がない場合は豚バラはハサミでカット。しゃぶしゃぶと同じ感覚で、豚バラに火が通ったら完成。

POPEYE

POPEYE

五臓六腑に染みわたるとは、このことか! 季節の野菜と味噌が溶け合い、食材の優しさや栄養素が体にダイレクトに伝わってくる味わいは、料理の概念を超えて、もはや生活必需品と呼びたい。日によってお肉をいれたり、すいとんをいれたり、その他冷蔵庫にあるイケそうな食材を足していけば良いという懐の深さにも改めて味噌汁のポテンシャルの高さを感じた。

調理する上で驚いたのは、とん汁のセオリーだと思っていた”まず豚バラを炒める”という手順がなかったこと。「豚バラは最初に炒めず、しゃぶしゃぶのようにさっと火を通す感覚で出来上がる直前に入れると、肉本来の味を感じやすく美味しい!」と言われて食べてみたら、過去イチ豚バラの存在を感じる一杯だった。

プロフィール

土井光

どい・ひかる|1991年、大阪生まれ東京育ち。東京の女子大学卒業後、フランスリヨンにある『L’institut Paul Bocuse』にてフランス料理とレストランマネージメントを2年半学ぶ。フランス三つ星レストラン『Michel GuérardとTroisgros』、リヨンにある老舗チョコレート店『Bernachon』に勤める。在仏7年。帰国後、父である料理研究家土井善晴の事務所、おいしいもの研究所でアシスタントとして勤務。料理デモストレーションのフランス語通訳やフランスと日本文化を繋ぐイベント参加なども行う。趣味はマラソン。

Instagram
https://instagram.com/hikaruuud/