TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
FOOD

【#4】フランス就職活動。

2021.05.01(Sat)

フランスの学生生活も残り少ないころ、日本でもお馴染みの就職活動をしなければなりませんでした。現場経験があまりない私ですが三ツ星レストランに就職を目標に就職活動を開始しました。

フランスに三ツ星レストランは約30箇所。
働きたい人は山ほどいるけどレストランには履歴書が埋もれているところもある。

とりあえず、モチベーションレターを10枚程書く。フランス語が完璧ではないので、友達に添削してもらう毎日。。


そしてかなり面倒くさかったもの。

それは書類の印刷とコピー。

学内にプリンターはありますが、2台しかなく常に人が群がっている。値段も安くないくせに、起動や動きが遅すぎるプリンター。

焦らないフランス人。


勿論キオスク(フランスでのコンビニ)にプリンターなんてない。キンコーズのような印刷専門のお店に行かないと行けないのですが遅くても19時に閉まる所が多く、数枚の印刷に対応してくれないこともしばしば。

フランスのプリント事情を甘くみてはいけません。かなりのストレス要素です。

綴りの間違いやちょっとした訂正をしたい時には発狂しそうでした。プリントし直さなければいけないことが。笑

兎にも角にも一番大変なのは面接。
ビザがない外国人には風当たりも激しい。非常に不利な状態でした。あらゆるところに履歴書を送り、パリや地方にも行きました。返事が返ってこないこともあり、ビザ事情で断られることも多々。

とあるパリの三ツ星レストランに張り込みしたこともあります。

少人数で運営していて、規模も小さい。でも常に予約いっぱいの超有名レストラン。何回行ってもディレクターにシェフは忙しい、と言われ会わせてももらえない。。

ということで張り込みをしてサービス終了後ガラス越しに見つめる作戦です。

アイロンをするお手伝いのベトナム人に憐れんだ目で見られますが気にしない。ディレクターも見て見ぬフリ。

しかしシェフが気づいて出てきてくれました。厳しいシェフとは聞いていましたが、丁寧な話ぶりとしっかりした口調で私を厨房まで案内し、

「君の履歴書も見たし、雇いたい気持ちはあるけれど、こんな厨房なんだ。」と一言。

確かに私の20平米の部屋より小さいキッチン。

今いる人が抜けない限りは他が雇えない事が理解できました。

もっと気持ちが強かったら人が抜けるのを待っていたと思います。ただ私の中では早く決めないと。という焦りもあり、きちんと諦め、次に向かう決心をしました。

後日談ですが日本の住所に手書きで申し訳ないが採用できない、ごめんね。というお手紙を送って頂きました。感激。


そんな走り回っている私に、研修でお世話になったシェフが仏南西部の三ツ星レストランに紹介状を書いてくれることになりました。

素晴らしいアジア人でよく働きよく食べるって書いてくれた。

ありがとう優しいおじいちゃんシェフ。

紹介状の効果は絶大で、なんと雇ってもらえることになりました。就活活動は卒業ギリギリ。よかったです。

その後しばらく勤めましたがビザの関係でCDI(終身雇用)はもらえず別の職場に移ったのですが、まずここに就職して正解でした、次のステップへ向かいやすい状況を作れましたから。

フランスの就職活動はタイミング、紹介、コネにつきるとしみじみ。。

しかし本人の足りないことへ重箱の隅をつつくようなことはあまりないので、私にとって日本の就職活動よりはのびのびと出来たと思います。プリント問題以外は。

こちらが就職先のレストラン。

プロフィール

土井光

どい・ひかる | 1991年、大阪生まれ東京育ち。東京の女子大学卒業後、フランスリヨンにあるL’institut Paul Bocuseにてフランス料理とレストランマネージメントを2半学ぶ。フランス三つ星レストランMichel GuérardTroisgrosリヨンにある老舗チョコレート店 Bernachonに勤める。在仏7年。帰国後、父である料理研究家土井善晴の事務所、おいしいもの研究所でアシスタントとして勤務。料理デモストレーションのフランス語通訳やフランスと日本文化を繋ぐイベント参加なども行う。趣味はマラソン。インスタグラムはこちらから! https://instagram.com/hikaruuud?igshid=12yc9ro5us5ys




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