TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
FOOD

【#2】ダニエルの話。

2021.04.17(Sat)

前回リヨンの料理学校の話をしたので、今回はそこで出会った友人ダニエルの話を。

面白い人だったので書き記したいと思います。

ダニエルはイスラエルとポーランドのハーフ。

イスラエル政府からのプログラムで派遣されて来ていました。

高校卒業後、イスラエルで義務付けられている3年の兵役を終え、フランスへ渡り料理人の道へ。各地で料理修行をしている時に、リヨンの料理学校への奨学金を母国の政府が出すと聞き応募、見事合格したとのことでした。

高校卒業してから4年後だったのでちょうど私と同い年。

英語はペラペラ、イケメン、社交的、成績上位。

慣れないフランス語でも、よく発言し、入学早々スペインの美人さんと良い関係になり目立っていたし、クラスのリーダー的存在でした。

そんな彼は、私とはあまりにも接点がなかったので最初は話してさえいなかったのですが、とある日から、実技の授業で私とペアを組んで料理をすることが多くなりました。

私はシェフに言われたことを理解するのが大変で、人よりワンテンポ、ツーテンポも動きが遅い。そんなやばい日本人にも彼は噛み砕いて説明してくれ、しかも調理過程がシェフ以上に要領がいい。中でも、授業が始まる前に一番良い作業場を確保し、料理をするまでの徹底した準備を誰よりも大事にしていたことは本当に感動しました。

私との共同作業を大事にしながらも、完成品はシェフに提示するギリギリまで時間を調整して出来立てを提出する。完璧でした。

いきなりダニエルのおかげで高得点を叩き出すヒカルドイ!

完全に棚ぼた。

それからは寮に帰って、スーパーで鶏1羽を買って来てダニエルに裁きかたをレクチャーしてもらったり、ソースの説明を何度もしてもらったり。彼を使いまくりました。

できる人といると本当に勉強になるのです。

するとなんだか面白がられ、仲良くできるようになり、お互いの国の話や料理の考え方、フランス料理の話など、たくさんの話をするようになりました。彼の彼女とも仲良くなって3人でよく週末に出かけていました。

彼は常に何故?を考える人でした。

昔からこうやっている。ということに対してさえ意味を問うし、それが目上の人だとしても積極的に聞いていく。答えられない先生たちは彼のことを苦手に思う人もいましたが、なんせ試験結果がいいので何も言えない。。。さすがやで。

何故?は先生だけにとどまらず、友人にも問うことが多く、なんとなく距離を置かれていたのも事実。笑 彼はそんなことは気になんかしていなかったけど。

でも私はその彼のなぜなぜを楽しんでいました。困らせられた時もあったけど、私をかなり成長させてくれたと思います。

そんなダニエルは、長期のバケーションで日本を訪れてくれました。

築地市場に行った時、マグロが絶滅危惧種と聞くけれど、こんなにも沢山マグロがある。日本人はどのような対策をしているの?

恥ずかしながらそんな対策なんて知らなくて苦笑いしかできませんでした。

何より絶滅危惧種と知っているようで知らないフリをしていた自分に気付かされたのを思い出します。。。

私もイスラエルに行ったし、他にも色々と面白い話はあるのですがこれを全部書くと長くなるのでまたどこかで。

私の戦友であり、親友のユダヤ人は、繊細で面倒臭くて、恋バナも出来る、兄弟のようでもありました。

ちなみに写真は卒業式のときなのですが、間にいるイケてるおじさんはダニエルパパ。イスラエルの俳優兼歌手のパパ、面白すぎました。卒業式に来た土井善晴となかなかの化学反応を起こしていました。

プロフィール

土井光

どい・ひかる | 1991年、大阪生まれ東京育ち。東京の女子大学卒業後、フランスリヨンにあるL’institut Paul Bocuseにてフランス料理とレストランマネージメントを2半学ぶ。フランス三つ星レストランMichel GuérardTroisgrosリヨンにある老舗チョコレート店 Bernachonに勤める。在仏7年。帰国後、父である料理研究家土井善晴の事務所、おいしいもの研究所でアシスタントとして勤務。料理デモストレーションのフランス語通訳やフランスと日本文化を繋ぐイベント参加なども行う。趣味はマラソン。インスタグラムはこちらから! https://instagram.com/hikaruuud?igshid=12yc9ro5us5ys
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