カルチャー

あの人のリーディングリスト。Vol.8

選書: 浜野謙太

2022年11月24日

illustration: Kenichi Watanabe
cover design: Fuya Uto
text: Kenta Hamano
edit: Yukako Kazuno

あの人はどんな本を読んでいるのか?
気になるあの人たちのリーディングリストを教えてもらう連載。
第8回は浜野謙太さん。

ぜんぶ運命だったんかい〜おじさん社会と女子の一生〜
笛美(著)

ハッシュタグデモ「#検察庁法改正に抗議します」を発信した、フェミニストの笛美さん。バリキャリ女子だった彼女が気付いていく日本のおじさん社会構造の衝撃的事実。フェミニズムとの出会い。笛美さん自身のリアルな経験と言葉で語られていくから、どっちかならおじさん側だろ、な僕も感情移入して感動する、泣く。それでいい。当のおじさんさえ生きづらい、そんな”おじさん社会構造”をみんなで変えてこうと思わせてくれるのがこの本のすごいとこ。

『不寛容論』
森本あんり(著)

寛容の国、アメリカにおいてのその成り立ち。宗教の話がたくさんのところ、僕にはちょいムズだったんだけど、ロジャー・ウィリアムズという超絶真っ直ぐな宗教家による国づくりの奮闘とともに、政教分離の考えがどう生まれていったのかを導き出してくれる。これ感動。つまり今、政治と宗教がズブズブでやばい日本の民には必読の本なのです。

『リハビリの夜』
熊谷晋一郎(著)

お医者さんであり、脳性まひ当事者である熊谷晋一郎さんのリハビリされる側(トレイニー)の身体イメージから考察される新しい医学書。僕の娘は心臓病手術の後遺症で右手、右足に麻痺がある。片手が不自由だと「できないこと」が多いと思ってしまうのだが、そもそも”歩く”こと自体が地面との関係性であり、面白くって豊かなのはそのつなぎ目の部分なのだと教えてくれる。娘との人生を変えてくれたすごい本。

坂の途中の家
角田光代(著)

「これ面白いから読みな」。妻から割と強めに推されたのを覚えている。自分の赤ちゃんを殺してしまった母親の、刑事裁判、裁判員を務めることになった主人公の主婦。被告の境遇が明らかになるにつれ、それに重なる自分。「あれ? 私って幸せ…なのか?」夫婦間のバイアスは知らない間に強くかかっていて、意識的にならなければ解消されることはない。そのことに気づくチャンスを小説の提供という形でくれた妻にひれ伏した。

プロフィール

浜野謙太

はまの・けんた | 1981年、神奈川県生まれ。「在日ファンク」のボーカル兼リーダーで、俳優としても映画、ドラマなど多数の作品に出演。映画『婚前特急』で第33回ヨコハマ映画祭・最優秀新人賞を受賞。「在日ファンク」としての最新作は11/30リリースのデジタルシングル『身に起こる』。12/3には恵比寿LIQUIDROOMにて「在日ファンク」ワンマンライブ「身に起こる the One マン」を開催。

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