ライフスタイル

「北東北の」実用逸品!Vol.9

岡部文彦/山のスタイリスト

2022年10月25日

photo: Akiko Sato
text: Fumihiko Okabe
edit: Masaru Tatsuki

岡部文彦 きこり見習い 現在岩手県岩泉町在住 1976年、岩手県小岩井生まれ

薪と斧

 岩手に移り住んで、まずやりたかったことのひとつが、薪ストーブを設置すること。「薪ストーブの暖かさで、クソ寒い北東北の冬を越してみたい」なんて思っていたし、オフグリッド的エネルギーにかっこよさも感じていたからか? とにかく欲しかったモノ。

〈MOUNTAIN RESEARCH〉のコバさん(小林節正氏)の山へ、よく遊びに行ってたのが2007年頃。コバさんの山にはもちろん薪ストーブがあって、敷地の樹木を伐倒して、薪割りして、薪ストーブの燃料にしている様子を見ていて、とてつもなく憧れを抱いてしまった。薪ストーブという代物を知ったのは確かにこの時が初めだったかと思う。

 俺もいつかこんな暮らしがしたいなぁ! なんて……そんな憧れが、間違いなく今に繋がっていて….。そんなこんなで、移住したら“やりたいことリスト”に「薪ストーブを設置」を加えていたのは間違いないわけで。

 でも自分のお小遣いで買えた薪ストーブは近所のホームセンターで買ったやっすいやつで、今もあまり気に入ってはいない。しかも、風呂場に設置してあるのだった(煙突を取り付けるためのメガネ石がなぜか完備してあった為)。しかし、“薪ストーブを設置する”という行為にはとてもワクワクしたし、達成感もあった。

薪ストーブ
薪ストーブ

 さあ使ってみよ〜って、ちょと待て〜! 肝心の薪もないし、薪を割る、斧もないじゃないか! と。山間の町だし、林業を学んでいるから薪はすぐ手に入れることができた。しかもスギとかじゃなくって、極上のミズナラの薪を! だ。

大量の薪

 斧だって、インターネットでポチッとすれば、簡単に手に入れられちゃうのだけど、じゃあ、どこの斧がいいのか? ってので少し迷った。でも、何気に見当はついていたのだ。。スタイリスト時代に、よくリースしていた、長野県の代理店『FIRESIDE』が取り扱っている、スウェーデンの斧メーカーがいい! とは思っていた。

薪
薪

〈GRANSFORS〉のあのかっこいい斧が欲しいとは思っていたのだけど、人気なメーカーだからと天邪鬼としては敬遠しようとしていた。日本の和斧を所有してる方がかっこいいんじゃねえか⁉︎ と、探してみたけれど、なかなかなんかしっくりくるのがなくって……。

 で、結局購入したのは、〈GRANSFORS〉の薪割り斧。柄も刻印もやっぱりかっこいい。間違いなく割り易い使い易い。所有してるってだけで安心感が満たされる道具ってなんか素敵だ。

 やはり其れ専門のメーカー。我ながらの薪割りのこだわりは、素手で斧を持つこと。レザーグローブとか嵌めた方が良さそうだけど、この斧の柄は、素手で持った方がしっくり握れるのだ。

プロフィール

岡部文彦

おかべ・ふみひこ|山のスタイリスト。ファッションスタイリスト時代からの庭師見習いを経て、現在の興味は山へ。webショップ「ホームセンターバリカンズ」の店主、農園芸作業着「ハーベスタ!ハビコル」開発の為に林業現場を体感中。

Official Website
https://www.vallicans.com
http://www.harvesta.net