1995年生まれの写真家、竹久直樹による本作は、彼がライフワークとして撮り溜めてきた「展覧会の記録」を編纂した一冊。その撮影舞台は、一般的な美術館やギャラリーにとどまらず、野外や廃墟といった非日常的な空間にも及び、展示の完成形だけでなく、準備段階の現場にも密着し、そこに関わる人々の熱量やモノ同士のつながりまでを空間ごと切り取ってきた。
混沌とした現場の空気をありのままにパッケージングできる「写真」の特性を活かし、点在する展覧会の記憶をひとつの連なりとして提示する。本作最大の魅力は、裏方に徹して「他者のアート」を記録し続けた膨大なアーカイブが、結果的に竹久氏自身の「ひとつの表現」へと昇華されているところにあるのかもしれない。
主体が曖昧だからこそ成り立つ記録とは何か。本書は「撮影」という行為を切り口にして、現代における記録の意味や、記録する側のあり方を見つめ直す手がかりとなるに違いない。8月29日(土)からは福岡の『青旗』にて刊行記念展「撮影:竹久直樹」が開催され、翌日30日(日)にはpower/point(竹久直樹×中村晴道×八木幣二郎)によるトークイベントも開かれる。ぜひ足を運んでみよう!
インフォメーション
竹久直樹 『撮影』
仕様:A5/上製本丸背/152P
執筆:青山拓央、布施琳太郎、竹久直樹
デザイン:星加 陸
言語:日本語/英語
定価:¥4,730
発行:torch press
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