スペインのバルセロナ郊外にあるバルボナ地区。都会のほど近くにありながら、風光明媚なその“よき谷”で、実際に暮らす人々を捉えたドキュメンタリーだ。一見すると牧歌的な佇まいの彼ら彼女らだが、その口から語られる話は、移民、世代、人種、ジェントリフィケーションをめぐる、様々な対立も浮き彫りにするだろう。その意味で、社会の縮図のような場所ではあるが、単に問題提起的な社会派ドキュメンタリーと思ったら大間違い。「ここで映画を撮るなら西部劇がいい」とつぶやき、映画にまつわる本質的なアイデアすら提案する老人、そして彼のために用意されたまさに西部劇的なシーンは、本作があくまでシネマであることを高らかに証明している。7月3日より全国順次公開。
『パンク・ガーデニング宣言 エコロジカルで型破りな庭園論』を読む。
フランスの造園家エリック・ルノワールが提唱する「パンク・ガーデニング」は、人間本位で植物にとっては地獄でしかない「美しい庭」という考え方にまず反旗を翻す。そして、完璧な管理をあえて手放し、植物本来の...
『はいつくばって』を読む。
ミランダ・ジュライによる2冊目の長編小説だ。主人公はジュライ自身を彷彿とさせる45歳の女性アーティスト。とある小旅行をきっかけに、中年期特有の人生の悩みに振り回される彼女の姿が、夢みがちであるが故の...
『ルックバック』を観る。
藤本タツキによる同名漫画を実写化したのは、『箱の中の羊』の記憶も新しい是枝監督だ。二人の少女、藤野と京本がコンビを組んで漫画家を目指すその原作の物語を、是枝監督はかなり忠実に実写へと昇華させている。...
『オデュッセイア』を観る。
原作は古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスの同名叙事詩だ。「トロイの木馬」作戦によってトロイア戦争に勝利したオデュッセウスたちが、妻と息子が待つ故郷イタケへの帰還を目指す10年に及ぶ果てしない旅路を、監督...
『ワンオペレーション』を観る。
中年女性のリンダには、原因不明の病を抱える一人娘がいる。しかし、長期出張中の夫を頼ることはできない。どころか、たまに電話がかかってきたかと思えば、彼女の不手際を難じるばかりだ。そんな八方塞がり状態に...