現代フランスの哲学者ジャック・ランシエールによる映画論集。かなり手強い一冊ではある。しかし、彼が普通に映画好きであることは、取り上げられる映画監督を見れば明らかで、そこに別に映画好きでもない哲学者が用語説明のために書いた映画論との違いがある。ヒッチコック、ブレッソン、ロッセリーニ、ペドロ・コスタ……。とりわけ、ハリウッドミュージカルの巨匠ヴィンセント・ミネリ論には我が意をえたり。「世界は舞台、舞台はエンターテイメントの世界」という「ザッツ・エンタテイメント」の歌詞から解き明かされるのは、「芸術と娯楽」をはじめ、何かと何かを分けること、あるいはその結合部分を示すことをしない、ミネリ的な方法論。それを念頭に置きつつ、「車が渋滞し現実が停止しないとミュージカルの世界に入れない『ラ・ラ・ランド』ってどうだったの?」と考えてみるのもいいかもね。¥3,740/青土社
ムーンストラック・カルティベーション vol.2「『図案』の森に潜る 近代日本の視覚文化アーカイヴ逍遥」に行く。
POPEYE Webシニアエディターでもある編集者の井出幸亮さんが立ち上げたリアルイベントプロジェクト「Moonstruck Cultivation(ムーンストラック・カルティベーション)」。芸術/...
『パンク・ガーデニング宣言 エコロジカルで型破りな庭園論』を読む。
フランスの造園家エリック・ルノワールが提唱する「パンク・ガーデニング」は、人間本位で植物にとっては地獄でしかない「美しい庭」という考え方にまず反旗を翻す。そして、完璧な管理をあえて手放し、植物本来の...
『はいつくばって』を読む。
ミランダ・ジュライによる2冊目の長編小説だ。主人公はジュライ自身を彷彿とさせる45歳の女性アーティスト。とある小旅行をきっかけに、中年期特有の人生の悩みに振り回される彼女の姿が、夢みがちであるが故の...
『ルックバック』を観る。
藤本タツキによる同名漫画を実写化したのは、『箱の中の羊』の記憶も新しい是枝監督だ。二人の少女、藤野と京本がコンビを組んで漫画家を目指すその原作の物語を、是枝監督はかなり忠実に実写へと昇華させている。...
『オデュッセイア』を観る。
原作は古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスの同名叙事詩だ。「トロイの木馬」作戦によってトロイア戦争に勝利したオデュッセウスたちが、妻と息子が待つ故郷イタケへの帰還を目指す10年に及ぶ果てしない旅路を、監督...