展示風景:「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」森美術館(東京)2024 年 撮影:長谷川健太 © The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York, 2024.
渋谷の忠犬ハチ公像のように、六本木エリアで待ち合わせるときは「六本木ヒルズ」入り口の大きな蜘蛛の彫刻《ママン》で集合、なんて人も多いのではないだろうか。「ハチ」の物語はよく知られているが、クモについてはどうだろう。《ママン》のお膝元、六本木『森美術館』で、その制作者でもあるルイーズ・ブルジョワの、国内では27年ぶりとなる大規模個展が開催中だ。家族との関係性と心の修復を切り口にした3つの章立てから約100点の作品を紹介。身体性、セクシュアリティ、ジェンダーといった主題に基づいた作品群が並び、そのキャリアの全貌を知ることができる展覧会だ。アーティストの内側から発露される引き裂かれるような感情や記憶を芸術の域まで昇華する、あまりに生身な表現の迫力に圧倒されること間違いなし。蜘蛛《ママン》が示す母性は優しく深い愛か、獰猛な捕食者か。生き別れること、見捨てられることを恐れたブルジョワだが、「人間のアイデンティティは他者と関わる中でしか形成されない」と考えた彼女の作品前で、人と待ち合わせ・出会うことの意義深さにもハッとさせられる。
インフォメーション
ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ
会場:森美術館
会期:2024年9月25日(水)〜2025年1月19日(日)
時間:10:00 〜 22:00(火曜日は17:00まで)、12月24日(火)・31日(火)は22:00まで
休み:なし
料金:平日/一般2000円、大学生・高校生1400円、65歳以上1700円、中学生以下無料。土・日・休日/一般2200円、大学生・高校生1500円、65歳以上1900円、中学生以下無料※オンラインサイトよりご購入の場合は料金が異なります。※予約優先制です。
Official Website
www.mori.art.museum
ムーンストラック・カルティベーション vol.2「『図案』の森に潜る 近代日本の視覚文化アーカイヴ逍遥」に行く。
POPEYE Webシニアエディターでもある編集者の井出幸亮さんが立ち上げたリアルイベントプロジェクト「Moonstruck Cultivation(ムーンストラック・カルティベーション)」。芸術/...
『パンク・ガーデニング宣言 エコロジカルで型破りな庭園論』を読む。
フランスの造園家エリック・ルノワールが提唱する「パンク・ガーデニング」は、人間本位で植物にとっては地獄でしかない「美しい庭」という考え方にまず反旗を翻す。そして、完璧な管理をあえて手放し、植物本来の...
『はいつくばって』を読む。
ミランダ・ジュライによる2冊目の長編小説だ。主人公はジュライ自身を彷彿とさせる45歳の女性アーティスト。とある小旅行をきっかけに、中年期特有の人生の悩みに振り回される彼女の姿が、夢みがちであるが故の...
『ルックバック』を観る。
藤本タツキによる同名漫画を実写化したのは、『箱の中の羊』の記憶も新しい是枝監督だ。二人の少女、藤野と京本がコンビを組んで漫画家を目指すその原作の物語を、是枝監督はかなり忠実に実写へと昇華させている。...
『オデュッセイア』を観る。
原作は古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスの同名叙事詩だ。「トロイの木馬」作戦によってトロイア戦争に勝利したオデュッセウスたちが、妻と息子が待つ故郷イタケへの帰還を目指す10年に及ぶ果てしない旅路を、監督...