カルチャー

4月はこんな映画を観ようかな。

何を差し置いても観たい新旧5作。

2022年4月4日

『デュエル』ジャック・リヴェット(監)

『デュエル』
©1976 SUNSHINE / INA.Tous droits réservés.

舞台は現代のパリ。探偵映画的に幕を開ける本作は、最終的に地上での生を受けるための魔法の石をめぐる太陽の女王と月の女王の対決へ……という『アベンジャーズ』もびっくりな展開へと至る。基本的に2人の人物がただ語り合っているシーンで構成されるのだが、まったく飽きないのは、その人物の配置とカメラの動きのアレンジメントが素晴らしすぎるから。観た後はしばらく放心状態になること間違いなし。ジャック・リヴェット映画祭【デジタルリマスター版】内で上映される。同映画祭は4月8日から28日まで、ヒューマントラスト シネマ渋谷で開催。

『ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン』
シャンタル・アケルマン(監)

『ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン』
© Chantal Akerman Foundation

シャンタル・アケルマンの傑作がデジタルリマスター版で日本初公開。タイトルの通り、描かれるのは、ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地で、息子と暮らすジャンヌ・ディエルマンの日常だ。しかも、その“日常”ってのが、お湯を沸かし、ジャガイモの皮を剥き、買い物に行きというルーチンワークの反復なんだから驚くしかない。加えて、その退屈さを強調するかのようにカメラワークも超ミニマル。いや、たしかに“日常”だけど映画ならもっとドラマチックにしたほうよくね? と気を揉んでいると……。もう、すごいとしか言いようがない。【デジタルリマスター版】シャンタル・アケルマン映画祭にて上映。同映画祭は4月29日〜5月12日までヒューマントラスト シネマ渋谷で開催。

『ザ・バブル』ジャド・アパトー(監)

『ザ・バブル』

アメリカン・コメディ映画界の巨匠ジャド・アパトーの監督最新作は、コロナ禍がテーマ。パンデミックによりホテル付きスタジオに缶詰状態になりながらも、空飛ぶ恐竜をやっつけるアクション映画を完成させようと奮闘する役者たちを描く。妻アパトー、娘アパトーもメインキャストに迎え、本当にしょーもない小ネタを畳み掛けるように進むので、めちゃくちゃ金のかかったホームビデオを観ているかのよう。とりわけ人気ティックトッカーを演じた娘アパトーのアカウントで、みんながダンスを踊る姿を撮影するシーンは爆笑必死。Netflixで独占配信中。

『目指せメタルロード』ピーター・ソレット(監)

『目指せメタルロード』

アメリカの高校に通う2人の少年が、メタルバンドを組もうと決意する。ところがどっこい、校内にはメタルに興味があるヤツなんでいやしない。というわけで、白羽の矢を立てたのは、チェロが得意な一人の少女。果たして、チェロを加えた異色のメタルバンドはうまくいくのか? という、「もうこういの待ってました!」的な直球青春映画。それもそのはず、音楽青春映画の名作『キミに逢えたら!』のピーター・ソレットが監督なんだから。しかし、それ以上に驚くべきは、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロがエグゼクティブ音楽プロデューサーを務めているってこと。もう最強の布陣じゃん。4月8日よりNetflixで独占配信。

特集「アメリカ映画史上の女性先駆者たち」

シネマヴェーラ渋谷の特集上映「アメリカ映画史上の女性先駆者たち」

シネマヴェーラ渋谷では気になる特集上映が開催されるもよう。その名は、「アメリカ映画史上の女性先駆者たち」。映画の創世記より活躍していながら、これまできちんと評価されてこなかった、アメリカにおける女性映画監督のパイオニアたちの仕事に光を当てるというもの。取り上げられるのは、アリス・ギイやドロシー・アーズナー、ロイス・ウェバーなどなど。知らない人ばっかりだけど、最近日本映画研究の分野でも、「日本映画における女性パイオニア」プロジェクトというのが始まっていて興味を持っていたから、これはぜひ通いたい。とりあえず、女優としても知られるアイダ・ルピノが監督した、ダーク版『ドリームプラン』という噂の『強く、速く、美しく』(画像)が気になる。同特集は4月16日〜5月13日にシネマヴェーラ渋谷で開催。