CULTURE

3月はこんな映画を観ようかな。

花粉症を忘れて観たい5作。

2022.03.01(Tue)

『たぶん悪魔が』ロベール・ブレッソン(監)

(C)1977 GAUMONT

科学技術が発達し、環境破壊が進むこの世界に、厭世的な思いを抱きながら暮らす若い男の日常が、キレッキレのショットと編集で不穏に描かれる。とりわけ、森林が伐採される様子を淡々と映し出すシークエンスの不気味さったらない。メリメリッという木の切られる音とともに、一度観たら忘れられないトラウマを残す。人間の肉体が刃物で一刀両断される有様を、その断面も含めて見せていくスプラッター映画が”切株映画“なんて呼ばれたりするが、本作では木の切株自体が人間の惨殺死体に見える……とでも表現すべきか。監督は映画好きが避けては通れないロベール・ブレッソン。1977年の作品だけど、今観ても問答無用で新しい。ちなみに、同時期にはブレッソンの『湖のランスロ』も公開される。3月11日より公開。

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『ニトラム/NITRAM』ジャスティン・カーゼル(監)

(C) 2021 Good Thing Productions Company Pty Ltd, Filmfest Limited

社会に馴染めない1人の青年が、初老の女性と出会い一緒に暮らす……のだが、そこからの展開はまったく予想がつかなかった。オーストラリアで実際に起きた事件を元にしているらしいが、予想のつかなさを味わいたいなら、事前情報は入れずに観るべし。その上で少しだけ付け足すと、ガス・ヴァン・サントの『エレファント』と『ラスト・デイズ』を核融合させて、エモさを引いたような映画だと言えるかもしれない。特に唖然としたのは、あることがきっかけで主人公の父親がソファから起き上がれなくなるくらい意気消沈してしまうのだが、そのソファにビニールが張られていたこと。エモさのかけらもない渇ききった殺伐感! たぶん、ガスにはソファにビニールを張るなんてことはできないだろう。3月25日より公開。

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『ナイトメア・アリー』ギレルモ・デル・トロ(監)

ギレルモ・デル・トロ監督最新作は、1930年代のアメリカで、ひょんなことから見世物小屋で働くことになったスタンが主人公だ。そこで読心術の手練手管を学んだ彼は一座を離れ、一流ホテルで読心術ショーを開催するようになる。のだが、金に目がくらんで越えてはいけない一線を……という話。一方で、本作は“ギーク”をめぐる物語でもある。劇中では、“獣人”と訳され、見世物小屋で生きたニワトリを食べる人間がそう呼ばれるのだが、現在この言葉が“オタク”を意味することはよく知られている。でもって、デル・トロが“ギーク”界のスターであることは言うまでもない。それを踏まえると、最後にスタンがつぶやく言葉がまた違った意味を帯びてきそうな気がするが、どうなんだろう。3月25日より公開。

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『アダム&アダム』ショーン・レヴィ(監)

タイムトラベルで未来からやってきたパイロットが、子供の頃の自分&今はなき父親と協力しながら、過去と折り合いをつけるべく奮闘するSFコメディ。『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シリーズのエグゼクティブ・プロデューサーであり、去年の個人的トップ10に間違いなくランクインする『フリー・ガイ』の監督、ショーン・レヴィの最新作なんだから、観ないわけにはいかない。3月11日よりNetflixで独占配信。

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『運命のイタズラ』チャーリー・マクダウェル(監)

とある別荘で空き巣狙いの強盗と鉢合わせてしまったカップルを描く、ヒッチコック風のサスペンス。リリー・コリンズとジェイソン・シーゲルがカップルを演じており、監督は去年リリーと結婚を発表したチャーリー・マクダウェルだ(ちなみに、チャーリーの父は『時計じかけのオレンジ』でアレックスを演じたマルコム・マクダウェル)。夫婦が作った映画には良作が多いのは歴史が証明している通りなので、お祝いがてら観てみよう。3月18日よりNetflixで独占配信。

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