LIFESTYLE

部屋とシティボーイ#7 / SAN DIEGO

世界中から集めた8部屋のサンプル。第7回は、ミッドセンチュリー・デザインの博物館のような部屋へ。

2021.12.02(Thu)

photo: Aya Muto
illustration: Masayoshi Suzuki
coordination: Megumi Yamano
text: POPEYE
2018年2月 850号初出

自宅がミッドセンチュリー・デザインの博物館!?
圧巻のコレクションから学ばせてもらおう。

スティーブ・アルダナ|1973年、サンディエゴ生まれ。「Esoteric Survey」でブログとショップを展開。
「家が火事になったらとにかくこれを担いで逃げる」というほど溺愛しているのが、上の白いラウンジチェア。絵画や家具のフランス人作家、Maurice Martineの1947年の作品。スティーブはMauriceが大好きで、部屋には彼にまつわるものが点在。

 2016年の春、『ポパイ』は40周年記念・西海岸特集の取材のためにサンディエゴを訪れ、スティーブに出会った。自宅に招いてくれたのだが、目に飛び込んできた部屋の光景が忘れられないのだ。もうさながら、ミッドセンチュリー・デザインのミュージアム! なんて言葉もチープに思えて憚られるほど、彼の情熱と見識はスゴい。おっと、つい感動が先走って紹介が疎かになったが、スティーブは「OBJECTS USA」という屋号でヴィンテージ家具を販売し、ブログ「Esoteric Survey」で深い知識を発信する、ミッドセンチュリーの家具とプロダクトのいわば“超オタク”。おまけにセンスもいいんだから、この時代のインテリアが好きならしのごの言わずに、とにかくページを読み込んでほしい。今回の取材でもさらに進化していて、いいモノと暮らす楽しさを教わりました。勉強になります!

-LIVING ROOM-

家宝クラスのMaurice Martineの椅子を後ろから。その右にあるのは’50sに活躍したアメリカのJohn Kaleのコーヒーテーブルで、日本の古い花器を載せている。壁側のソファはアメリカのMilo Baughmanの’50sのもの。
ベッドルームへと抜ける棚の上段にはカリフォルニアの木工作家、Tom TramelのWeed Potの数々。中段には56ページにも登場するRicky Swallowのアート作品が。
50sにLAで活躍していたLa Gardo Tackettの陶器は、花瓶やプランターとしてファンが多い名作。
手前の陶器は1930年にハワイで生まれ、LAで活躍したHenry Takemotoの作品。2015年に逝去してから価値上昇中。
柳宗理のバタフライチェアは’50sのもので、テラコッタの赤いランタンはMalcolm Lelandの代表作。
アメリカのグラフィックデザイナー、Alvin Lustigのチェアに座り、インテリアの書を読んで寛ぐ。
この椅子は数あるコレクションの中でも特に座り心地がいい。1949年の作品。
オランダ製の壁付けシェルフにもDoyle LaneのWeed Potが所狭しと並ぶ。
Maurice Martineのサイドボード。これも自慢の逸品。クモのようなオブジェの作家はJim Sundell。スティーブが太鼓判を押す地元の芸術家だ。

-BEDROOM-

寝室もまるでショールーム。ベッドフレームは〈Eames〉。
サンディエゴのアーティストから届くホリデーカード。
キッチンへのドアにEames夫妻がデザインしたHerman Miller社の名作「ハング・イット・オール」。子供心を忘れない感覚もスティーブの魅力! 

-WORKING DESK-

デスクは’50sの〈Eames〉。ランプは大好きなMaurice Martineが所有していたGreta Grossmanの作品で、地球儀はAlbert Freyが自宅用に作ったもの(ってどうやって手に入れたんだ?)。武骨な花器はアリゾナ州アーコサンティで見つけた。

-POSTERS-

玄関脇に飾っているポスターは’60s前半にLAにあった『PRIMUS STUART GALLE RIES』のもの。
その後継である『DAVID STUART GALLERIES』のポスターも。

-KITCHEN-

木製のキャビネットの中に食器を収納。食事に使うものについては、もっぱら白い陶器を集めているそうだ。
めったに料理をしないがフィンランドのTimo SarpanevaがデザインしたRosenlew & Coの赤い鍋でお湯を沸かしたりする。
シンクの向かいの低い棚の上にもWeed Potが山積みに。いったいどんだけ持ってんの!? 旅先でもよく買うとか。
アーコサンティの風鈴「ソレリ・ウィンドベル」がシンクの上に。〈GIANT〉のバイクはほぼ吊るしっぱなし。
アメリカの作家、Evans Clarkの作品を食器棚に。といってもほぼアートのディスプレイ用で、KENJI FUJITAや、’50sにLAを拠点に活動したLa Gardo Tackettのお茶目なセラミックが並ぶ。壁には日本で買った凧も。
House Layout

部屋とシティボーイ#7 / SAN DIEGO

AREA |サンディエゴ・ゴールデンヒル
SPACE |1LDK 56
REMARKS |1910年に建てられた、素朴な造りのアパートメントの2階にある一室。随分と気に入り、ここでもう15年暮らしている。ブログで発信する新しく見つけた貴重な家具の写真もここで撮影。
平凡な間取りで暮らしはシンプルだが家具の審美眼は圧巻。1階はオフィススペース。

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