ライフスタイル

部屋とシティボーイ#5 / MELBOURNE

第5回はメルボルンの物置小屋に住む建築家の部屋へ!

2021年11月18日

photo: Timothy Herbert
illustration: Masayoshi Suzuki
coordination: Mifumi Obata
edit: Hiroko Yabuki
2018年2月 850号初出

家賃が高い?だったら物置に住んじゃおう!
建築家のアイデアがつまった秘密基地。

マリー・バーカー|1982年、クイーンズランド生まれ。大学で建築を学んだ後、ロンドンとベルリンへ。2013年からメルボルン在住。
たまに人も通る路地に面しているけれど「日本の古い長屋みたいに、通りとの距離感が近いのがいい」と全く気にせず、逆に楽しむこの余裕。窓だっていつも開けっ放しだ。

 コーヒーショップがハイレベルとか、街並みがヨーロッパっぽいとか、噂では聞いてるメルボルン。でも現地の暮らしぶりって? そんな好奇心からのぞいてみた建築家マリーの部屋は、想像以上だった。だってそもそも家じゃなくて物置小屋。曰く「このあたりは家賃が高騰中。物置やガレージを改造して住んでる人は結構いるよ」。不便もありそうだけれど「夏は汗だく、冬は隙間風も入る。生きてるって感じさ」と満足げ。と言いつつ住むにあたり改装もしているから、見かけよりも居心地がいい。寝ている間にキッズがグラフィティを描いていっても「それも味かな」。細かいことを気にせず、環境をとことん楽しむ。それがメルボルン流なんだね。

-BEDROOM-

「’60年代のオフィスデスクみたいなデザインに一目惚れした」という机は中古家具店で。左手のドアを開けると中庭で、大きなブラシの木が見える。中庭の奥にシェアスペースのある母屋が。

-KITCHEN-

こちらは母屋。アーチのアプローチから共有のキッチンへ。「過去の住人による内装さ」

-GARDEN-

中庭には「落ち葉も雨水も溜まらない」とお気に入りの〈Harry Bertoia〉のレプリカチェアが。テーブルは脚の部分が焚き火台になっていて、冬になるとシェアメイトと火を囲んでおしゃべりするんだって!

House Layout

AREA |メルボルン・ノースフィッツロイ
SPACE |1R 18
REMARKS |1900年頃の中庭、物置付きの一軒家を男女4人で賃貸。元物置をベッドルームに。キッチン、トイレ、リビングルームは母屋にあり、マリーは中庭をリビング代わりに使っている。家賃は月500豪ドル(43000円ほど)。「本当は3人の契約なんだけど4人で割ってるから安く済んでるんだ。大家さんには内緒でね」